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2021年09月09日19:27

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読書日記Nо.1381(カズオ・イシグロは、テヅカ・オサムの夢をみるか)

■カズオ・イシグロ、土屋政雄訳「クララとお日さま」2021年3月早川書房刊

1時間ほど前、30分ほどかけて書いた読書日記をアップしようとしましたら、
mixiへのアクセスが不安定だったためか、消えてしまいました。

以前は、ときどきあったのですが、最近はそのような経験がなくて、すっかり
油断していました。

ガックリして、30分ほど立ち直れませんでしたが、気を取り直して、日記を書く
ことにします。

私がカズオ・イシグロの作品を初めて読んだのは、13年ほど前の2013年で、
当時、話題になっていた「わたしを離さないで」でした。

臓器移植用に、クローンとして育てられた若者の群像を描く、SF小説でしたが、
その設定と、作品の内容に、大きな衝撃を受けました。↓

https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1887670338&owner_id=5540901

今回の作品は、以前、馴染みになっていたのと、ノーベル文学賞受賞第一作という
触れ込みでしたので、手に取りました。

「わたくしを離さないで」と同じSF作品で、AIを搭載したロボットが主人公
だということで、がぜん興味を惹きました。

私と同世代の日本人は、手塚治虫の作品で、ロボットと人間の関係性については、
なんとなく知見があるような気がします。

「鉄腕アトム」のアトムや、「火の鳥 未来編」のロビタは、まさに、ロボットの
視点での、人間との関係性や葛藤を描く物語で、本書と設定は似ています。

さてさて、本書ですが、以下のような物語でした。

“カズオ・イシグロの新作『クララとお日さま』は、彼の第8作となる小説だ。
前作の『忘れられた巨人』(2015)がファンタジー、その前の『わたしを離さないで』
(2006)がSFという具合に、イシグロは、様々な小説ジャンルを渡り歩いてきた。”

“ときにジャンル・ホッパーの異名を取るイシグロが今回選んだのは「御伽噺」。
人ならざる存在が人間の少女を不可解な力で救う物語。その展開を下敷きにして、
「お友だちロボット」であるAF(Artificial Friend)のクララと少女ジョジーとの
心温まる交流が描かれる。”

“気分はピクサーの映画『トイ・ストーリー』(1995〜)。人間を救う人形のロボット
ということで、手塚治虫の『鉄腕アトム』(1952〜1968)、あるいはアトムへの
オマージュ(同作の1エピソード「地上最大のロボット」が原作)として描かれた
浦沢直樹の『PLUTO』(2003〜2009)のことを思い出す人もいるかもしれない。”

“実際、物語は、中盤以降、病に伏したジョジーを救うためにクララが献身的に尽くす
姿が描かれ、この先、二人はどうなるのだろう? とハラハラさせられる場面が続く。
最後には、これは奇跡か? と思わずにはいられないような感動的な終幕を迎える。”

“今回の場合は、物語で最後にクララが廃棄された場面が描かれたこと。クララは、
ジョジーの「ズッ友」というわけではなかった。期間限定の未成年者向けのオモチャ
にすぎなかった。クララ=AFもまた、卒業すべき対象だったのだ。それまでジョジー
に対するクララの献身的な行動を見守ってきた読者からすれば、この最後の場面は
少なからず衝撃を受けてもおかしくはない。”

カズオ・イシグロは、私も含め、同世代の日本人なら、読んだであろう手塚治虫の
マンガを読んでいないと思われますが、この作品で描く世界は、まさに、ロボットと
人間の共生が可能かというテーマでした。

AIが発達した、22世紀には、そんな世界が出現していてもおかしくないと思われ
ますが、私は、もうすでにこの世にはいません。

孫娘たちが、AIとも幸せに関係を結べたらと、願ったりします(^^♪
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