■坪内祐三「玉電松原物語」2020年10月新潮社刊
著者は、2020年1月に61歳で心不全で急逝した文芸評論家。
著者は、私よりも4歳下だが、ほぼ同世代であり、ここ数年、著書に馴染みになって
いたので、遺作として手に取った。
令和の日本において、60代前半で亡くなるのは、早逝といわれると思うが、
私が若いころの、昭和においては、まぁ、普通だった。
私も、生まれ育った町内に同級生が、８人いたが、一人は60歳で癌で亡くなり、
昨年、65歳で持病のためもう一人が亡くなり、もうそういう歳になったのだという
諦観のようなものがある。
著者が、昨年急逝して、手に取ったのが↓。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1976759551&owner_id=5540901
こうして、みんな逝ってしまうかもしれないですね。
さてさて、本書でした。惹句を紹介。
“急逝した評論家の「遺作」は、私小説のごとき昭和文化論だった――。
その町にはチンチン電車が走り、牧場には牛が群れ、神社は奉納相撲で盛り上がる。
そして駅前の商店街には、様々な人びとがいた――。”
“かつて世田谷を中心に走っていた東急玉川線。通称、玉電。三軒茶屋と下高井戸を
結ぶ線に、その玉電松原駅(現・東急世田谷線松原駅)はあった。昭和30年代半ばより
この町に暮らした評論家が、幼年時代から少年時代までを町の記憶とともに振り返る。”
“「私のことを、東京っ子を鼻にかけると思っている人がいる。だが私は東京っ子では
なく世田谷っ子だ。しかも世間の人が思っている世田谷っ子ではない。
……私が引っ越して来た当時の世田谷、特に赤堤界隈は少しも高級ではなかった。
もちろん低級でもない。つまり、田舎だった」”
“松原、赤堤、下高井戸、経堂……自らのすべてを育んだ昭和の世田谷を卓越した
記憶力で再現し、令和が喪った街と文化を瑞々しく甦らせる最後のエッセイ。”
“【本書を構成するキーワード】
玉電/快獣ブースカ/ジェイムズ・ジョイス/遠藤書店/オオゼキ/奇形魚/梅宮辰夫/ドムドム/四谷軒牧場/サイモン&ガーファンクル/神戸銀行/ブルーチップ/ガロ/ジャコビニ流星群/日曜洋画劇場/切手ブーム/植草甚一/黒猫のタンゴ/さか本そば店/プラッシー/落合博満/ザ・ガードマン/五島プラネタリウム/メキシコオリンピックetc”
目次も紹介します。
第一章 四谷軒牧場とブースカ
第二章 スーパー「オオゼキ」がリニューアルオープンした
第三章 サヨウナラ「遠藤書店」
第四章 松原書房、「安さん」、そして切手ブーム
第五章 「ももや」のブルート、米屋のカルロス、そしてヒッピーそうちゃん
第六章 落合博満は赤堤小学校のPTA会長だった
第七章 「布川電気」で買ったレコード、そして赤堤の家の生き物たち
第八章 和泉多摩川、京王多摩川、そして二子玉川
第九章 世田谷八幡の秋祭りの奉納相撲で学生横綱だった農大の長濱を見た
第十章 「ハマユウ」と「整美楽」が謎だった
燃える牛と四十七の扉――吉田篤弘
東京ローカルな話題ですが、昭和20〜30年代の人々にとっては、それぞれの
ローカルで似たような思いでがあるのではと思います。
私は、名古屋郊外に生まれ育ちましたが、なんだか、とても懐かしかったです。
現在は、東京の杉並区に住んでいますが、世田谷区の境界近くでもありますので、
著者の生まれ育った地域は、沿線は違いますが、直線距離にしてみれば、２�劼�
ありませんでした。
懐かしいなぁ(^^♪
ログインしてコメントを確認・投稿する