■原武史「地形の思想史」2019年12月KADOKAWA刊
原武史さんの本を読むようになったのは、ここ数年で、天皇、団地、鉄道
に関して、活発に著述活動をしていて、興味深い本も多い。
本書は、日本の地形と思想に関する紀行エッセイで、書店の店頭で目が
留まって、手に取った。
地形が日本人に及ぼす影響については、NHKの「ぶらタモリ」に通じる
ものがあるかもしれない。なるほど、そうかもしれないと思った次第。
惹句をちと長いが、紹介しますね。
“なぜ、皇太子一家はある「岬」を訪ね続けたのか?
なぜ、「峠」で天皇制と革命思想は対峙したのか?
なぜ、富士の「麓」でオウムは終末を望んだのか?”
“なぜ、皇室の負の歴史は「島」に閉ざされたのか?
なぜ、記紀神話は「湾」でいまも信仰を得るのか?
なぜ、陸軍と米軍は「台」を拠点にし続けたのか?
なぜ、「半島」で戦前と戦後は地続きとなるのか?”
“7つの「地形」から日本を読み解く。
「空間」こそ、日本の思想を生んでいた――。”
“日本の一部にしか当てはまらないはずの知識を、私たちは国民全体の
「常識」にしてしまっていないだろうか?”
“人間の思想は、都市部の人工的な空間だけで生み出されるわけではない。
地形が思想を生み出したり、地形によって思想が規定されたりすることもあるのだ。
七つのテーマと共に、独特な地形と、伝説を含めてそこに滞在ないし生活する
人々の間にきわめて強い関係がみられる場所を実際に歩く。”
“すると、死角に沈んだ日本の「思想史」が見えてくる。
風土をめぐり、不可視にされた「歴史」を浮き彫りにする原思想史学の新境地!”
地形や風土が、思想を育むというのは、改めて思えば、その通りで、
そういえば、40数年前の学生時代、和辻哲郎さんの「風土」というエッセイを
読んだことを、思い出した(^^♪
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