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2020年02月27日20:58

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読書日記Nо.1249(すぐそこにある未来は、こんな奇妙なものかもしれない)

■中島京子「キッドの運命」2019年12月集英社刊

この読書日記のタイトルは、本書の帯からとったものだが、ここ2〜3日の
日本社会の状況を連想するものに、期せずしてなってしまった。

新型コロナウィルスの日本社会に及ぼす影響が、今週になって、ギアチェンジ
したように、深刻なものに変わった。

不特定多数が集まるイベントは、原則中止・または延期の雰囲気が堰を切った
ように蔓延したきた。

スポーツイベントは、開催するなら無観客試合。それが嫌なら、延期が中止。
コンサートなども同様。そして、企業が催すイベントも軒並みそうなり始めた。

すぐそこにある未来、例えば、2週間後の日本は、どうなっているか。
とても奇妙なものになっているかもしれない、という恐怖に近い感情が、
現実味を帯び始めた。

既視感があると思ったら、9年前の3月11日以降の日本が、そうだった。

さてさて、本書は、社会時評ではなく読書日記なので、本務に戻ります。

遅ればせながら、惹句を紹介。

“すぐそこにある未来は、こんな奇妙なものかもしれない。”

“廃墟化した高層マンションの老人が消えるわけ。汎用型AIが人を超えた
時に起こる異変。アグリビジネスから逃れた種の行き先――。”

“『小さいおうち』『長いお別れ』の著者が贈る、初の近未来小説。”

“とつぜんあの女があらわれた日は、雷鳴が鳴り響き、雹がばらばら降った
日だった。しかも、あろうことか彼女は海からやってきたのだ。ドーニを
一人で操縦して――「キッドの運命」”

“十四歳のミラは、東洋人の祖母が暮らす田舎で夏休みを過ごす。おばあさん
ばかりがいるその集落には、ある秘密があって――「種の名前」”

“人工多能性幹細胞から作った子宮? ぼくは、寝起きの顔をぶん殴られたような
衝撃を受けた――「赤ちゃん泥棒」 他、全6編。”

本書を手に取ったのは、昨年読んだ著者の長編「夢見る帝国図書館」が素晴らし
かったから。

その著者の最新刊の短編集で、結構評判がよかったから手に取った。

まさに、四半期ごとに放映されるTV番組「世にも奇妙な物語」の世界で、
畏怖した。

人類の近未来は、どうも、ユートピアではなく、ディストピアかもしれない。

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