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2020年02月11日17:21

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読書日記Nо.1245(家族の幸せの経済学)

■山口慎太郎「『家族の幸せ』の経済学」2019年7月光文社新書

副題は、“データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実”。

本書は、2019年度のサントリー学芸賞を受賞し、同じく2019年度
新書大賞で第5位の栄誉を得た新書。

内容は、家族の幸せのためには、世帯主の稼ぎや、お金がやはり
必要なんだな、という本ではありません。

著者は、まえがきで、次のように述べています。

“経済学というとお金にまつわる学問だから、結婚、出産、子育てはもと
より、「家族の幸せ」などとは関係ないのではと思われるかもしれませんが、
決してそんなことはありません。”

“経済学は、人びとがなぜ・どのように意思決定し、行動に移すのかについて
考える学問ですから、そこで得られた知識を活かすことで、家族の幸せに
より近づくことができるのです。”

“あなたを安心に誘う真実が満載!
□ 保育園は、母親の「幸福度」を高める
□ 保育園は、子どもの「攻撃性」を減少させる
□ 「育休3年制」は意味がない。1年で充分
□ 母乳育児の「知能」「肥満」への効果はない
□ 日本の低出生体重児の数は世界3位
□ パパの育休は、子の16歳時の偏差値を上げる”

“「帝王切開なんかしたら落ち着きのない子に育つ」
「赤ちゃんには母乳が一番。愛情たっぷりで頭もよくなる」
「3歳までは母親がつきっきりで子育てすべき。子もそれを求めてる」
出産や子育ては、このようなエビデンス(科学的根拠)を一切無視した
「思い込み」が幅をきかせている。”

“その思い込みに基づく「助言」や「指導」をしてくれる人もいる。
親身になってくれる人はありがたい。 独特の説得力もあるだろう。
しかし、間違っていることを、あなたやその家族が取り入れる必要は
まったくない。こういうとき、経済学の手法は役に立つ。
人々の意思決定、そして行動を分析する学問だからだ。
その研究の最先端を、気鋭の経済学者がわかりやすく案内する。”

目次と小見出しの抜粋も紹介。

■第1章――結婚の経済学
・人びとは結婚に何を求めているか
・どうやって出会い、どんな人と結婚するのか
第2章――赤ちゃんの経済学
・帝王切開は生まれてくる子どもの健康リスクになるか
・母乳育児はメリットばかりなのか
第3章――育休の経済学
・育休と子どもの発達を考える
・「育休3年制」は無意味。1年がベスト
第4章――イクメンの経済学
・育休パパの勇気は「伝染」する
・では、夫婦の絆は深まるのか
第5章――保育園の経済学
・保育園は、母親の幸福度も上げてくれる
・無償化よりも待機児童解消を急ぐべき理由
第6章――離婚の経済学
・離婚しやすくなることは、不幸だとは限らない
・共同親権から「家族の幸せ」を考える

小見出しの抜粋を紹介しましたが、ずいぶんキャッチーな見出しが
並んでいるように思えるかもしれません。

でも、著者は、真面目な学究徒ですから、内容は世界で発表された統計等
に基づく研究成果に基づく記述で、ちょっとその落差に、道楽読書子と
しては、とまどうこともあった次第と、正直に告白いたします。

著者は、30代の東京大学経済学部・政策評価研究教育センター准教授で、
本書が、初著書となるとのこと。

清新な感じが、確かにいたしました(^^♪
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