■高橋明也・冨田章・山下裕二「初老耽美派 よろめき美術鑑賞術」2019年12月毎日新聞出版刊
書店の店頭で、ジャケ買いをすることもあるが、本書は、タイトルを一目
みて、ノックアウトされて手に取った本。まさに、タイトル買い。
なんと素敵なタイトルかと、ゾクゾクしちゃった次第。
私は、高校と大学の部活は音楽系で、高校はブラスバンドでトロンボーンを
吹き、大学はオーケストラで、チェロを弾いていた。
でも、振り返ってみると、美術鑑賞は好きで、よく美術展には行っていた。
名古屋郊外で生まれ育ったが、高校生のとき、京都美術館で、ゴヤ展が
開催されたとき、出向き、行きは新幹線に乗って行ったが、帰りに財布を
みると、新幹線に乗る運賃がなく、鈍行で帰ったことも懐かしく思い出す。
還暦を過ぎて65歳になり、リタイアしたら、日々何をして過ごそうかと
考えたりするが、美術館巡りなどもいいなぁと思ったりする。
だから、本書のタイトルが、ひたすら蠱惑的に感じたのかもしれない。
惹句を紹介しますね。
“美術館の巡り方・作品の見方から、おっぱいとエロの真剣考察まで。
ゆる~くて限りなく深い! 初老3人が語るアートを楽しむ極意とは? ”
“名画・名作を堪能したい! と思っても、人気の展覧会はどこも激混み。
意外に初老のカラダにはきついもの。加えて、いまさら熱心に美術の
“お勉強"もつらい……。”
“そんなお悩みを解決する1冊。仲良し美術史家3人によるユニット
「初老耽美派」が常設展をめぐって楽しみ方を紹介! ベテランたちが
たどりついた美術鑑賞の極意とは?”
“読めば、「美術ってこんなに気軽に楽しんでいいんだ! 」と目からウロコ。
さっそく美術館、博物館に出かけたくなるはずです。 ”
章立てと小見出しの抜粋も紹介。
■第1章 いくつになっても美術館に行きたい!
・三重苦の初老にやさしい常設展
・トイレ探しは「初老」の一大事
・映像は脳みそへ、言葉は忘却の彼方へ
■第2章 巨大博物館を攻略する
・常設展のひそかな楽しみは
・日本人は昔むかしからフィギュア好き
・高村光太郎は明治工芸凋落の根源
■第3章 にぶった感性を刺激する
・若き日の記憶を刺激する作品
・新しい才能に出会い、来し方行く末を想う
・初老たちよ、「無駄」を愛せ
■第4章 おっぱいとエロとエロスの話
・おっぱいは美術鑑賞の母!?
・性を笑い飛ばす日本のおおらかさ
・色気についての初老の主張
■第5章 アートは結局「好き」「嫌い」
・眠ってしまった「好き」の感情を掘り起こす
・溶けていく「初老」の自我
・知らないことは財産だ!
著者の3名の方たちは、初老の知的不良おじさんたちとおもいきや、
さにあらず、66歳、61歳、61歳の、日本を代表する美術史家たちで、
本職を離れて、純粋なアマチュアおじさんとして、美術を愉しむその
ユルさとピュアさが、素晴らしい。
ウイークデイながら、心がゆったりと、緩んでしてしまった(^^♪
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