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2020年01月13日19:52

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読書日記Nо.1238(ナウシカ考 風の谷の黙示録)

■赤坂憲雄「ナウシカ考 風の谷の黙示録」2019年11月岩波書店刊

私の長女は1986年、二女が1995年生まれなので、子どもたちが
幼いときから、宮崎アニメには、親しんできた。

「風の谷のナウシカ」のアニメは、映画館やTVの再放送などで
もう数回観てきた。

宮崎駿さんの「風の谷のナウシカ」は、マンガ版とアニメ版があって
両者は、タイトルは同じながら、作品としては全く違うとは、以前から
耳にしてきたが、本書は、マンガ版「ナウシカ」を巡る論考。

因みに、アニメ版がエンターテインメントなら、マンガ版は純文学の
ような違いがあるという。

著者は1953年生まれ(私の1歳年上)で、民俗学・日本論が専門の
大学の先生。著書に「岡本太郎の見た日本」「東北学/忘れられた東北」
「性食考」などがある。

私とほぼ同い年の大学の先生が、なぜ「風の谷のナウシカ」に拘って
いるのか。惹句を紹介しますね。

“1982年から雑誌『アニメージュ』に連載され,映画版の制作を挟み94年に
完結した,宮崎駿の長編マンガ『風の谷のナウシカ』。この作品の可能性の
種子は,時代の喘ぎのなか,いま,芽生えと育ちの季節を迎えようとしている
のかもしれない――。多くの人に愛読されてきたこのマンガを,二十余年の
考察のもと,一篇の思想の書として徹底的に読み解く. ”

目次と小見出しの抜粋も紹介。

第一章 西域幻想
1 秘められた原点
 ・アニメとマンガのあいだ
 ・宮崎駿の種子をもとめて
2 神人の土地へ
 ・小さな谷の王国
 ・旅立ちのときに
第二章 風の谷
1 風の一族
 ・腐海のほとりに暮らす
 ・風車とメーヴェのある風景
2 蟲愛ずる姫
 ・背負う者の哀しみとともに
 ・ギリシャ神話のなかの原像
3 子守り歌
 ・あらかじめ壊れた母と子の物語
 ・擬態としての母を演じる
4 不思議な力
 ・境界にたたずむ人
 ・王蟲の心を覗くな、という
第三章 腐海
1 森の人
 ・火を捨てて、腐海へ
 ・世界を滅ぼした火とともに
2 蟲使い
 ・たがいに影として森に生きる
 ・森が生まれるはじまりの朝に
3 青き衣の者
 ・邪教と予言が顕れるとき
 ・犠牲、または自己犠牲について
4 黒い森
 ・腐海の謎を読みほどくために
 ・第三の自然としての腐海
第四章 黙示録
1 年代記
 ・年代記と語りと声と
 ・文字による専制が産み落とした偽王たち
2 生命をあやつる技術
 ・悪魔の技の封印が解かれる
 ・帝国を支える宗教的呪力の源泉として
3 虚無と無垢
 ・内なる森を、腐海の尽きるところへ
 ・名づけること、巨神兵からオーマへ
4 千年王国
 ・千年とう時間を抱いて
 ・物語の終わりに
終章 宮崎駿の詩学へ

こうして、目次と小見出しを引用するだけで、なんだか内容が溢れ出して
くるような気がします。

宮崎駿が紡ぐ神話が、マンガ版「風の谷のナウシカ」で、著者はその核心
に深く沈潜して思考し、その紡ぐ揺らぎに、心身を委ねた読書でした(^^♪

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