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2020年01月07日21:22

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読書日記Nо.1237(もうそろそろ潮時である)

■森博嗣「つんつんブラザーズ」2019年12月講談社文庫

森博嗣さんは、若い読者にとっては、「スカイ・クロラ」シリーズや
「ヴォイド・シェイパ」シリーズなどの小説作品で馴染みがある作家
さんだと思う。

私は、森博嗣さんの小説は、2〜3作品しか読んでいなくて、馴染みに
なったのは、彼のエッセイを読んで以来だった。以後、10点弱くらい
読んで、いくらでも読みたいと思った次第。

森博嗣さんもどこかで述懐されていたが、彼の小説は、若い読者が多く、
ノンフィクションのエッセイは、中高年の読者が多いらしい。

であるならば、中高年である私は、ドストライクの読者かな。

彼のエッセイのどこに惹かれたかといえば、生きることの本質に触れた
文章が多く、中高年である私たちの琴線に触れるからかなと思っている。

でも、もう充分稼いで、趣味の工作も堪能しつくされたようで、最近、
緩やかに引退したがっているらしく、ブログも、2019年12月31日をもって
閉鎖された。

本書の惹句を紹介しますね。

“もうそろそろ潮時である。”

“優しい人というのは、自分の機嫌の取り方が上手い人だ/現場のレポートの
八割は意味がない/RITZを、ほぼ毎日食べている/美しさを知るほど、
人は強くなる/少子化が悪いと考えていない ほか”

“思わず納得、ベストセラ作家の斬新な思考よりすぐり100個。
霧の向こうの未来をほんのり照らす森博嗣《クリームシリーズ》
文庫書下ろし。”

“実は、すべてのものが「いなくなる」運命にある。生きていることこそ、
奇跡的な状況なのだ――。都会を離れ、森に暮らす人気作家が考える、
社会のあり方、日々の送り方。少しだけ発想を変えれば、目の前の世界が
まったく新しくなる。素朴な疑問から導かれる深い答えが衝撃的な、大人気
エッセィ・シリーズ第8弾!”。

本書は、見開きで100のエッセイを掲載している。
見出しを読めば、内容もイメージできるかと思って、心に残った(魂に触れた)
タイトルを20ばかり紹介しますね。

9.「群れるな」という教えについて
12.「自由」とは、すなわち「不安定」な状態のことである
14.「子供の科学」で連載を始めて、文章を書くことの難しさを痛感している
27.「もっと早く出会いたかった」と言う人は、自分の将来を変えられない
36.世の中には凄い人がいるけれど、仕事というのは普通に凄いものである
39.エッセイが売れるようになってきたが、残念ながら本人は飽きてきた
47.言論を弾圧する国家が、今も成り立っていることを、真摯に受け止めるべき
53.老後で考えたのは、とにかく遊ぶこと。ただ遊ぶだけの老後です
64.都会というのは、人間社会の培養実験室のようなものだ
66.安全とは、危険の確率を下げること。ゼロにすることではない
69.「方法」というもので上手くなるのは、才能がない凡人である
73.困ったときにどうするか、ではなく、困る前にどうにかしないと駄目
79.一匹狼はいても、一匹羊はいない
85.AIが人間と勝負しなくなったことが、いよいよAIの時代だという証拠
91.田舎は人口が減ってもなんとかなるが、都会はたちまち崩壊するだろう
92.後ろはどこまでも見えるのに、前は霧に閉ざされている。それが人生
93.おもちゃに囲まれた生活を夢見た子供の頃、今もその夢の中にいる

21世紀のソクラテスのようでしょ。

梁塵秘抄の有名なフレーズが、思い浮かんできます。

“遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん、遊ぶ子供の声きけば、
我が身さえこそ動がるれ。”

(^^♪
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