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2018年01月30日08:41

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読書日記No.1063(アメリカは「負け」を理解できない)

■森本あんり「宗教国家アメリカのふしぎな論理」2017年11月NHK新書

〔シリーズ〕企業トップが学ぶリベラルアーツ第2弾

日記のタイトルに使った帯の文言が強烈で、手に取った本。

著者の森本あんりさんは、馴染みの人気コラムニスト・小田嶋隆さんの
小中高の学友で、現在は国際基督教大学の副学長、一昨年、『反知性主義
―アメリカが生んだ「熱病」の正体』(新潮選書)で話題を呼んだ人として記憶
していた。

現代日本の政治・経済において、アメリカという国のことを考えずには、夜も日も
明けないが、実は、日本人はアメリカのことをよく分かっていない。

著者の森本あんりさんの専攻は、宗教学で、彼はアメリカを宗教国家だとみなし
その宗教原理から、アメリカという国を読み解く。そうすると、快刀乱麻のごとく、
アメリカという国家の謎が氷解する。

本書は、ビジネスパースン向けに講演した講演録を元に編纂されていて、
確かに、ビジネスパースンにとっても、アメリカ理解は欠かせない。

早速、惹句を紹介。

“中谷巌氏主宰の「不識塾」。門外不出の白熱講義の新書化、第2弾!
アメリカは「負け」を理解できない!”

“・なぜ「大きな政府」を嫌うのか?
・なぜ、かくも大統領選に熱狂するのか?
・なぜ知性があっても大統領になれないのか?
・なぜポピュリズムに染まるのか?
・シンギュラリティ論の宗教的背景とは?
・「アメリカ第一主義」の真の意味とは?
・あからさまな軍事覇権主義の背景は?”

“歴史をさかのぼり、かの国に根づいた奇妙な宗教性のありかたを読み解き、
トランプ現象やポピュリズム蔓延の背景に鋭く迫る。ニュース解説では決して
見えてこない、大国アメリカの深層。これがリベラルアーツの神髄だ! ”

目次と小見出しの抜粋を紹介。

はじめに 「不識塾」塾長 中谷巌 
序 アメリカを解きほぐすカギは宗教にあり
第1章 「富と成功」という福音──アメリカをつらぬく「勝ち組の論理」
 ・トランプの奇妙な信心深さ
 ・神を持ち出し「幸福」を正当化する
第2章 「反知性主義」という伝統 ──アメリカ史にさぐる「ふしぎな宗教性」の原点(1)
 ・なぜFBIは悪役になるのか
 ・「ハーバード」主義への反発
第3章 何がトランプ政権を生み出したのか  ──アメリカ史にさぐる「ふしぎな宗教性」の原点(2)
 ・知性があっても大統領になれない
 ・陰謀論を養分とするアメリカ政治
第4章 ポピュリズムをめぐる三つの「なぜ」──トランプ現象を深層で読む
 ・英米で異なる「平等主義」
 ・宗教なき時代の代替宗教
終 章 「正統」とは何か
 ・ブレグジットとトランプ現象の相違点
 ・ヤクザ映画と日本国憲法に見る「正統」

いやぁ、面白かった。
そうだったのかと、目から鱗がボロボロ落ちた。

最後に、ビジネスパースンに向けたメッセージがあり、印象に残ったので、引用。

“仕事には、自分がやって楽しいと思う仕事もあるし、食うために稼ぐために、やむなく
する仕事もある。でも、人間が本当に満足できる仕事というものは、自分の「やりたいこと」
と「やらねばならないこと」が一致しているような仕事です。”

“神学的にはこれを「コーリング」(召命)といいます。人はそこへと「呼ばれて」ゆくのですが、
それに「応える」ことが、真の充足感をもたらします。”

“人間の「運命」とは、そういうものだと私は思います。その時私たちは、その仕事をしたい
と思うと同時に、その仕事をしなければならない、という使命感をもてるのです。自分の
喜びとすることが、同時に社会の喜びになる。”

“そんなふうに仕事ができることは、とても幸いなことです。読者のみなさんが、今置かれて
いるそれぞれの場所で、自分のコーリングを見出し、与えられた運命をしっかり受け止めて、
最善を尽くすような仕事をしていただけるよう願っております。”

心に沁みました♪
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