■養老孟司・名越康文『「他人」の壁』2017年7月SB新書
本日記のタイトルが、とても刺激的ですみません。
本書の帯を借用したら、そうなってしまいました。
以前から、申し上げているとおり、養老先生には私淑しておりまして、
養老先生の名前の本を見ると、つい手にとってしまうのです。
最新刊の「遺書。」も、正月に読了しておりますが、読書日記に書くタイミング
を逸してしまいましてので、いずれ読書日記に取り上げるとして、今回は
仏教にも詳しい、精神科医の名越さんとの対談本。
まず、刺激的な帯の文言を紹介。
“「話せばわかる」はやっぱり大ウソ!”
“唯脳論×仏教心理学が教える「理解」の本質に気づくヒント”
惹句も、ちと長いですが、全部紹介。
“見えない「壁」がわかると世の中見えてくる
「自分」と「自分以外の存在」を正しく認識できれば
世間や物事の見方は180度変わりだす!”
“なぜ、相手は自分をなかなか理解してくれないと思ってしまうのか?
なぜ、いつもあの人には話が通じないと思ってしまうのか?
なぜ、悩みや不安はいつまでたっても消えないのか?
なぜ、都合の悪いことは無意識でシャットアウトしてしまうのか?
なぜ、「本当の自分」があると思い込んでしまうのか……”
“「自分」にとらわれることで他人や環境を正しく理解できず、
かえって自分の認識をも妨げ、
物事の本質の理解から遠のいているのが根底にあるのである。
いわば理解の「壁」が存在し邪魔しているのである。”
“かつて『バカの壁』(400万部)で一世を風靡した脳科学者の養老孟司氏と、
心理学の専門家でありタレントとしても注目されている名越康文氏が、
人生、脳、仕事、世間、老若男女、死、宗教、AI、脱グローバリズムなどのテーマから
「自分」を超え、相手や周囲に「気づく」ことで物事の本質を極め
読者の方が思考の新たな次元が見えてくるようになるユニークな対談本。”
目次と小見出しの抜粋も紹介。
序 章 「他人」をわかりたがる現代人
・かわらないのは前提が違うから
第1章 「わかる」の前に立ちはだかる他人の壁
・「人なんてわかりようがない」と思えば楽
第2章 誤解を無理に解く必要はない
・「本当の自分」「同じ自分」という嘘
第3章 「意識化」と「脳化」がもたらした弊害
・何でも説明がつくと考える危険性
第4章 無理解の壁に向き合える「場」の力
・ネットに溢れる「死んだ情報」
第5章 世界を席巻するグローバリズムの「壁」
・「グローバル疲れ」に対峙する現代人
第6章 判断を鈍らせているのは自分自身
・「意味」で満たすことの恐ろしさ
終 章 「違和感」を持つことで主体的に生きる
・違和感を持たないと永遠に気づけない
世界を理解するためには、最も大事なことは「気づく」ことであり、自分と他人の「壁」が
それを邪魔していると、養老先生は説いています。
自分の「壁」を通して、物事の本質に「気づく」ためのヒントが満載です。
養老教徒である、私めは、いつもの養老節を大いに堪能しましたが、ひょっとしたら
お経のように読んだのかもと、思ったりしました♪
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