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2016年03月15日20:17

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いざ 征かん南の空へ

いざ 征かん南の空へ
   
       
海軍少佐 末吉 實 命        
昭和二十年四月六日南西諸島方面にて戦死
海軍第十三期飛行科予備学生 
浜松高等工業高校
福岡県小倉市出身 二十五歳


遺書

 突然でさぞお驚きの事と存じますが、私も身を以て國難に当る時が参りました。
只今本隊より懐かしい名古屋を右に見てこの鈴鹿空に到着、愛機即ち棺桶の中で之を書いて居ります。
思へば二十有五年の筆舌にせざる御慈愛と御苦労に何等報ゆるなく
親不孝の数々、誠に何とお詫びしてよいやら、一人涙がにじむのみです。
お蔭様にて私も他より先に進級致し、只今では神風特別攻撃隊第二筑波隊々長として
同期の櫻を率いて敵空母に体当たりする機会を得ました。
男子の本懐之に過ぐるものはありません。
必ず兄上の仇は引受けました。
明日の戦果を御期待下さい。
  
出撃数日前に家の消失を知りました。うち続く打撃でさぞ御落胆なさる事と存じますが、     
何卒お力落しの無い様、近所の人達と協力、復興にお勤め下さる様御願ひ致します。
何事も気の持ち様ですから、しつかりした気持で天壽をうされん事を最後迄祈つて居ります。
ではそろそろ転進の時間が来ましたので之で失礼を致します。
昭和二十年四月五日 午後二時

御両親様
 
只今より必死必殺の攻撃に征く 心の平静たる
 本日の空の如し 白木の箱の整備なる 
いざ 征かん南の空へ

吾が予定突入時刻
 昭和二十年四月六日 一七・○○
  潔く散れや 筑波の若櫻       以上


          [平成十年四月靖国神社社頭掲示]
     
                  
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