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2021年07月27日11:30

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主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.73」


蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第402回

○初節句を祝う席での父親のあいさつ
本日は皆さまご多忙中にも係わりませず、わが子浩太の初節句の会へのご臨席を賜りまして恐縮の至りです。家内の涼子ともども厚くお礼申し上げます。*1

さて、昨今「すぐに切れる17才」ですとか、ホームレスに暴行する中学生、あるいは家庭内暴力とか、現代社会における子供のありようについていろいろな重大事件が続発しているようです。じつは私も家内も父親の代から学校の教師をしておりまして、このように頻発する諸事件はとても他人事とは思えません。*2

つい先日も、私が教頭をしている小学校の美術の時間にこんな事件がございました。未来の家を描きなさい、こんな家に私は住みたいという絵を自由に描きなさい、という課題をその美術の先生が出した。生徒たちはコンクリートの家ですとか、木の上の家ですとか、船の家ですとか、思い思いのイメージで水彩画を描いて先生に提出した。

ところがそのなかに、非常に汚れた部屋をリアルに描いた1枚があった。掃除も整理整頓もされていない乱雑な空間を切り裂くようにしてぼろぼろの壁穴から風がビュービュー吹き込んでくる。まあホームレスがつくった竪穴住居のようなものでしょうか。

その作品を見た先生がどういう訳だか激怒して、こんなのは未来の理想の家じゃない。すぐに描きなおしなさいと突っ返した。生徒は家に帰って泣いた。ふだん泣いたことなんかない子供なので、母親がしつこく問い糺した結果、ようやくその顛末が判明した。そういう事件です。

私は教師としても、一個の人間としてもこの先生がやったことは許しがたい暴力であり、犯罪的な行為だと思う。自由に絵を描けと言っておきながら、その自由を自分勝手に取り消して、子供たちとの約束を一方的に破った。

教師の頭のなかには、最初から「清潔で美しく、健康的で明るく楽しい未来の家」という固定したイメージしか宿っていなかった。だから提出された真に自由で個性的な表現に驚愕し、それを土足で踏みにじったのでしょう。*3

私は子供の荒廃と教育の荒廃は、実は教師の荒廃から起こるのではないかと思います。私は可愛いわが子の初節句に際し、改めて児童教育の責任の重大さを噛みしめている次第です。

○アドバイス
*1 教育の現場は普通の人が想像する以上に荒廃している。このスピーチは、かなり即興性が高いスピーチであるが、真情があふれているので人に訴える力が強い。
*2 愛するわが子の可愛い姿を見つめているうちに、話者は最近の実体験を連想する。下手な教師のために、幼い子供が豊かな未来を摘み取られる悲劇は数多い。
*3 その過ちを、自分を含めて、教師は決して犯してはならないと力説する。個性的なひとの、個性的なスピーチからは、多くのものを学ぶことができよう。

  狭庭には隅田の花火が咲き初めて君だけが私のことを分かってくれる 蝶人

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