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2020年04月06日10:38

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佐々木幹郎詩集「鏡の上を走りながら」を読んで



照る日曇る日 第1380回

2008年から19年までに作られたおよそ30篇の詩が並んでいるが、私にはさきの大震災の被害者に直接取材したと思われる「声たち」という“声の織物”がいちばん胸に響いた。

「そのときに、海の底がみんな見えたんですね。引き潮で。そのとき、ほんとうに地獄の底を見たという感じでした」
と著者が釜石市の住民の言葉をそのまんま書きうつすとき、その住民が見た光景を、著者も私たち読者も一緒になってその地獄を見つめているのである。

もしもその言葉を、著者がこの本に書きとめなかったら、永久に失われてしまったであろう「修羅場」の事実と真実が、ここで微かに点滅している。

   知らぬ間に空から落ちて我が庭で花をつけたる大島桜 蝶人

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