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2020年03月31日09:13

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村上春樹著「東京奇譚集」を読んで

照る日曇る日 第1379回

久しぶりに村上春樹選手の昔の作品に目を晒してみました。

「偶然の旅人」「ハナレイ・ベイ」「どこであれそれが見つかりそうな場所で」「日々移動する腎臓のかたちをした石」「品川猿」の5つの奇譚、というより奇談を並べてみせたが、こういう映画的なタイトルを5つ並べることが出来るのも、他の作家にはなかなか出来ない芸当なのだろう。

それで順番に読んでみると、みな喰らいつきやすく、若干語り口に食傷気味の個所はあるものの、なんたって客あしらいがこの国の作家中随一なものだから、くいくいと最後まで読ませてしまう。これも彼の貴重な得意技のひとつである。

どの短編もそれなりに面白く読めるが、一番の力作は、最後に置かれた書き下ろしの「品川猿」で、これだけは題目にふさわしい「東京奇譚」ずら。映画にうってつけのプロットだと思ったが、もうなっているかも知れない。

 「パンデミック」などと呼ばれて喜んで新型コロナは世界を駆ける 蝶人



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