蝶人物見遊山記第318回
鶴屋南北の波乱万丈の大活劇をみる。
本筋の噺自体はかなり荒唐無稽。実在した徳兵衛を天下大乱の張本人に仕立て上げる脚本に無理があるのだろう。
しかし天竺徳兵衛がアイヌの民族衣装の厚司を着て登場したり、座頭の徳市となって異国の楽器である木琴(舞台では鉄琴を生演奏する)など異国趣味が随所にちりばめられ、本水を使った水中の早替り、大蝦蟇に跨った徳兵衛を乗せた屋体崩しなど迫力に溢れるケレンは見応えがあるり、歌舞伎の栄えるこの国に生まれた人なら死ぬ前に一度は見るべき大舞台だろう。
中原の中也が死んだ病院で健康診断今年も受けたり 蝶人
ログインしてコメントを確認・投稿する