闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1263〜1270
1)相米慎二監督の「夏の庭」をみて
ラストの井戸の底から相米、三国、ザード、淡島の精霊がざわざわと立ち上がって来るような不思議な映画。相米にはもっと長生きしてほしかった。
2)山田洋次監督の「母べえ」
戦前戦中の日帝の知識人弾圧の実態をいまさらのように描くが、こういう政治と歴史にかかわるいわゆる反戦映画を普通に撮る監督は少なくなった。そういう意味で貴重なり。吉永小百合が好演。
3)田中光敏監督の「サクラサク」
さだまさしの小説の映画化だが、予定調和の演出が気になる。家族のうるわしき絆のためにカッコよく会社を辞めた緒方直人はその後どうなったのだろう。
4)古澤憲吾監督の「日本一のホラ吹き男」
植木等が演じる日本一のホラ吹き男の底知れぬパワーに1964年当時の日本の訳の分からぬアナーキーを感得できる貴重な映画ずら。
5)古澤憲吾監督の「大冒険」をみて
国際偽札グループをめぐるう植木等&クレイジーのドタバタだがちっとも面白くない。越路吹雪がギャング団に出演している。
6)劇団ひとり脚本・監督・助演「晴天の霹靂」をみて
劇団ひとりなんて馬鹿にしていたが、なかなか才能があると分かった。この調子でイーストウッド、さらにはチャプリン級の作り手になってほしい。
7)庵野秀明監督の「シン・ゴジラ」をみて
このゴジラの眼はまるで漫画で嘘っぽいが、映画自体もまるで空虚な漫画ずら。ゴジラを敵に想定して戦争ごっこに夢中になっている。まるで自衛隊のPR映画だ。
8)ギャレス・エドワーズ監督の「Godzilla」をみて
2014年製作のハリウッド映画ずら。暗闇から現れて暗闇に帰っていったゴジラならぬGodzilla。終始まっ黒けの画面でいったい何がどうなっているのかさっぱり分からんちんの映画なりい。
20冊を同時並行で読むというあな恐ろしや奥村晃作 蝶人
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