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2022年04月25日20:14

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「世界の美しさを思い知れ」「新しい星」

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「世界の美しさを思い知れ」
人気俳優の弟が突然自殺し、残された双子の兄は悲しみの底から這い上がれず、途方に暮れる。
”親が戸惑うくらいそっくりだったし、親が呆れるくらい仲が良かった”のに、弟が自殺した理由が皆目わからない。
弟のスマホに残された情報から、少しでも弟のことが探れないかと、礼文島、マルタ島、台湾、ロンドン、NY、南米と様々な場所を旅していく。
旅行といってもそれぞれほんの数日間、紀行文としては短かすぎるし、世界各地の上っ面だけなぞって旅と言えるかとも思う。
それでもコロナ禍で中々海外に行けない今、底知れない悲しみを引きずる旅だとしても、旅情をそそられます。
この挑発的なタイトルは、「あいつは先に逝っちゃったけど、残った片割れの俺に、世界は美しいということを残して逝ったんだと、それはつまり、お前は末永く生きろということだと受け取ろうと思う」ということのようです。

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「新しい星」
大学の合気道クラブで同期だった四人の男女のオムニバス短編集。
青子は産んだばかりの娘を亡くしてしまう。
弦也は上司にいじめられて会社を辞め、ひきこもりに。
茅乃は乳癌を患い、手術をするも再発する。
卓馬はコロナ禍の影響で妻子と別居、離婚することに。
それぞれが問題を抱えながら、助け合い、傷を晒すことで自分の不幸を受け入れていく。
このタイトルが何処から来たのかと考えながら読みました。
”なんだか見知らぬ惑星に寝転んでいるような、怪しく心もとない気分になった。不時着した砂地から顔を上げ、そろりそろりと周囲を見回し、夫や子供を望まない人生を考え始める。新しい星で、青子はやはり一人だった。堕ちた砂地で途方に暮れて、すすり泣く母親を眺めていた”
”星から放たれた光が地球に届くには時間がかかる。自分たちが見ているのは過去に発された光であり、目に映る星がすべて、この瞬間に存在しているとは限らないのだ。友人はいる、消えてもまだ、光を届けてくれている。そこにある星も、ない星も、光っているという意味では変わらない”
この辺りでしょうか。
愛する人を亡くしても愛や友情は消えないのだと、星の光は教えてくれると。
こんな友情があったらいいなあああ。


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