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2020年10月15日13:13

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「マーティン・エデン」

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アメリカの作家ジャック・ロンドンの自伝的小説を、舞台をイタリアに置き換えて映画化。
上流階級の女性との出会いをきっかけに、独学で作家を目指す労働者階級出身の青年の運命を描く。


ナポリの労働者地区出身で船乗りのマーティン(ルカ・マリネッリ)は、ブルジョワの令嬢エレナに恋をし、彼女に釣り合う身分になりたいと作家を志す。
しかし貧乏な彼は小学校中退で言葉も文法もろくに知らず、一般教養にも欠ける状態。
船に乗り、或いは日雇い仕事をしながら猛勉強をしてひたすら書き、雑誌社に原稿を送るが返却されるばかり。
日々の生活にも困り、何度も絶望感にかられるが、エレナへの恋心を支えに創作に打ち込む。

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前半は面白かった。
厳然と残るイタリアの階級格差。
マーティンとエレナの住む家、普段の衣服、言葉使い、食事の作法、すべてからそれは分かります。
野心がぼろ服を着たような、顔にも喧嘩の傷が残る底辺の男マーティンが、豪邸で召使にかしずかれる令嬢エレナの心をどうやって射止めるのか?
モノクロの20世紀初頭の風景や労働者の姿、マーティンの幼い頃の心象風景も時々挟まれ、興味津々で観ていったのですが…


ネタバレします。
未見の方はお気をつけください。

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後半、自分は社会主義者ではないといいながら、いきなり社会主義のスピーチをするマーティン。
次のシーンでは有名作家となっており、豪邸に住んで秘書を使っている。
横柄な態度で講義をし、訪ねてきたエレナをけんもほろろに追い返す。
成功した作家としてアメリカに行く予定になっていたが、空港ではなく、突然夕陽が沈む海へと泳ぎ出す…


これだけ視聴者を放り出した展開も珍しい。
後半の、マーティンの混乱と絶望は、私にはまったく伝わりませんでした。
私はジャック・ロンドンの本「野生の呼び声」「白い牙」が好きだったのです。
貧困層から出て有名作家となり、40歳の若さで自殺してしまった彼の自伝的映画というので楽しみにしていたのですが。
混乱を混乱のままで突き出されてもねえ…
イタリアの美丈夫ルネ・マリネッリの憑かれたような演技は素晴らしく、去年のベネツィア映画祭であの「ジョーカー」のホアキン・フェニックスを抑え男優賞受賞というのも頷けます。


2019年イタリア=フランス=ドイツ合作映画
公式HP http://martineden-movie.com/

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