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2020年09月07日18:44

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「ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂」

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ごく若い頃に井伏鱒二の「ジョン万次郎漂流記」を読みましたが、中身を綺麗に忘れた状態で、アメリカ版のこの本を読んでみました。
マーギー=プロイス著「Heart of a Samurai」邦題は「ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂」。
著者は児童文学者で、この本は2011年にニューベリー賞オナー受賞、アメリカでも話題になったといいます。
幕末土佐の貧しい漁師の家に生まれた万次郎は、14歳の時に漂流しアメリカの捕鯨船に助けられ、船長ホイットフィールドに引き取られ、アメリカで4年間学校に通い、英語数学航海術などを学んだ。
この本はアメリカに初めて渡った日本人といわれる万次郎の、成長・冒険物語です。

万次郎が実際に書いたスケッチや手紙をふんだんに挟み、架空の人物も多少加え、言葉も習慣も異なる地で彼がどのように生き抜いていったかを、生き生きと描いています。
19世紀のアメリカ東部の町で、万次郎は奇異の目で見られる。
学校でも熾烈ないじめを受けるのですが、いじめの親玉トムに乗馬での走競争を申し込む。
その競争でのワンシーン。
”自分の下で道が後ろに流れ、まぶしい新緑の森が凄い速さで後ろへ飛び、空はうごめく青い空に見える中、気づいた。これが、自由だ。
この国では誰もが将来に希望を持てる。願いや夢を持つことができる。よし、それに専念しよう。今、このとき、自分の願いは勝つことだ。”

これはアメリカ人に受けるだろうなあという描写があちこちに。
無論よいことばかりではなく、万次郎は陰湿な差別も受けます。
船長は彼を教会に連れて行くのですが受け入れて貰えず、何度も教会を変えたという資料が残っているそうです。

その後、万次郎はまた捕鯨船に乗ったり、西部に金を掘りに行った後、11年ぶりに日本に帰ります。
鎖国中の日本では外国帰りは罪人であり、2年近くも牢に入れて散々調べられた挙句、ようやく帰郷を許される。
そして下級武士に取り上げられるのですが、漁師の息子が侍になるとは、当時の日本では考えられないことだったと。
後にペリーが江戸湾にやって来たこともあって、通訳、そして将軍の相談役となって活躍する。
児童文学なので物足りない面もありましたが、アメリカ人の視点から描いた万次郎ということで、中々新鮮に読めました。


「ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂」 https://tinyurl.com/y29p3akb

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