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mixiユーザー(id:547825)

2019年06月09日18:40

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「1973年のカップ焼きそば」

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太宰治、三島由紀夫、夏目漱石、ドストエフスキーといった文豪から、星野源、小沢健二ら芸能人まで
100人以上の文体で、カップ焼きそばの作り方を綴った「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」。
よくまあ、こんなアホなことを考えついたものだというのが読後の率直な感想。
個人的には村上春樹版が一番好きだったので、それをご紹介します。

”「1973年のカップ焼きそば」

きみがカップ焼きそばを作ろうとしている事実について、僕は何も興味を持っていないし、何かを言う権利もない。エレベーターの階数表示を眺めるように、ただ見ているだけだ。

勝手に液体ソースとかやくを取り出せばいいし、容器にお湯を入れて5分待てばいい。その間、きみが何をしようと自由だ。少なくとも、何もしない時間がそこに存在している。好むと好まざるにかかわらず。

読みかけの本を開いてもいいし、買ったばかりのレコードを聞いてもいい。
同居人の退屈な話に耳を傾けたっていい。それも悪くない選択だ。
結局のところ、5分間待てばいいのだ。それ以上でもそれ以下でもない。

ただ、一つだけ確実に言えることがある。

完璧な湯切りは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。”


これは「1973年のピンボール」だけではなく、「風の歌を聴け」の
パロディでもあります。
物凄く久しぶりに、この2冊を読み直してみました。
新人賞を取った「風の歌を聴け」を私は大学の図書館のその文芸誌上で読み、
感動した覚えがあったのですが…


今読んでみると、随分と気負った作品です。
「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね」は
この作品の冒頭の文章です。
「今、僕は語ろうと思う。もちろん問題は何一つ解決してはいないし、語り終えた時点でもあるいは事態は全く同じということになるかもしれない。結局のところ、文章を書くことは自己療養の手段ではなく、自己療養へのささやかな試みにしか過ぎないからだ。(中略)
弁解するつもりはない。少なくともここに語られていることは現在の僕におけるベストだ。
つけ加えることは何もない。それでも僕はこんな風にも考えている。うまく行けばずっと先に、何年か何十年か先に、救済された自分を発見することができるかもしれない、と。そしてその時、象は平原に還り僕はより美しい言葉で世界を語り始めるだろう。」

そして「僕」の前に、鼠、J、左手の指が4本しかない女の子が現れて、ものうい夏が過ぎてゆく。
今、世界的に有名になってしまった著者がデビュー作のこの部分を読んだらなんて思うのだろう?
思わず赤面するのか、あるいは、ほらやっぱりね、とニンマリするのかしらん。


「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」https://tinyurl.com/yxgkhjan
「風の歌を聴け」 https://tinyurl.com/y478ktzj
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コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月09日 19:53
    なるほど。
    米現代小説の意識的、無意識的な影響は、そのとおりですね(笑)
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月09日 20:19
    いわゆる「パスティーシュ」なんですね表情(嬉しい)
    面白そうです。今度予約してみます。
    で、zooeyさんの「ハルキスト」振り!(笑)
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月09日 20:43
    > mixiユーザー 

    大体、この本の中で、自分がもっとも影響を受けた作家として
    アメリカのデレク・ハートフィールドという名前が何度も登場するのですが
    それは架空の人物なのです。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月09日 20:45
    > mixiユーザー 

    元々、Twitterで評判になったらしいです。
    一冊の本にするには少々無理があったようにも思いますが…

    ハルキストではありますが、かなりヒネクレていますわーい(嬉しい顔)
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月09日 20:58
    私も昔の彼の作品に感動した人間ですが、今はまったく読まなくなりました。なんですかね?琴線に触れる言葉が無くなったのかな。毎年のノーベル賞騒ぎも嫌いです。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月09日 21:16
    > mixiユーザー 

    人によっては好みも変わるのかもね。
    私はデビュー以来、ほぼ全作品読んでいます。
    でもまさか、ノーベル賞候補のようなメジャーな作家になるとは思いませんでした。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月09日 23:19
    こういう文章のスタイルや喋り方のパロディ(ちょっと前の桃太郎とか)は大好き。笑わせてくれますよね。
    先だって某神学者が「カール・レーフラー」なる人物をでっちあげたのは、ひょっとして「デレク・ハートフィールド」がヒントになったのかしら?
    ハルキに関しては私は「ノルウェイの森」が最後かなぁ。何となく遠ざかってしまいました。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月10日 00:17
     清水義範の『永遠のジャック&ベティ』も似たような作品ではないかと思います。ある世代にとっては英語の初等教科書に出てきたジャック&ベティが、久しぶりに再会して行う会話が、初等英語の直訳的日本語になってしまい、可笑しかったです。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月10日 08:10
    > mixiユーザー 

    くだらないけれど面白いよねえ。
    ただこの本はあまりにも薄っぺらくて、
    Twitterで笑ってる分には面白かったのですけど、
    一冊の本にするまでのものかな?と思いました。
    大学教授がでっち上げしちゃいけませんよねえ。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月10日 08:12
    > mixiユーザー 

    それ、私も昔読みました。
    ジャック&ベティがスーパーでバッタリ会って
    教科書の中のようなぎこちない会話をする。
    「元気ですか?私は女です」だったっけ?
    笑いました〜!
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月10日 09:27
    これって、2人の方の共著なんですか?
    しばらく前、いやかなり前?に、twitterで、すごい話題になってて。。。
    私は、村上春樹版もだけど、星新一版も確かあって・・・それがウケにウケてた記憶が(^-^;
    その時、たくさんの人たちがそれに参戦していた気がしていたので、この本はそういうののまとめたものかと思ってしまいました。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月10日 22:22
    > mixiユーザー 

    ありがとうございます。
    私も経緯がよく分かってなかったので、スッキリしました!わーい(嬉しい顔)
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年06月12日 17:20
    >ドリさん

    遅ればせながら、リンク先、ありがとうございました!

mixiユーザー

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