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2018年05月28日10:28

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ビックリの結末「フィデリオ」

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ワーグナーのひ孫でバイロイト音楽祭総監督であるカタリーナ・ワーグナー演出の
ベートーヴェンのオペラ「フィデリオ」、新国立劇場新制作。
ここ数年、夫に付き合って結構な数のオペラを観て来ましたが
昨日の舞台ではそのストーリーといい、終演後のブーイングといい、かなり驚きました。
クラッシック音楽に疎い人間が抱いた素朴な感想、ネタバレありです。

ベートーヴェン唯一のオペラ作品というこの演目、
夫婦愛の強い絆によって妻が夫を救い出すという、いわゆる「救出オペラ」です。
貴族の青年フロレスタンは、刑務所長ピツァロの陰謀で、地下牢に幽閉されている。
その妻レオノーレは男装してフィデリオと名乗り、刑務所に勤めて夫を救い出そうとし、
紆余曲折の後、その救出に成功する。
というのが、大まかなストーリーなのですが。

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フロレスタン役にステファン・グールド、レオノーレ役にリカルダ・メルベート。
ところがこの新制作作品、第2幕の途中でフロレスタンとフィデリオが
刑務所長によってナイフで殺されてしまうのです。
ええ!?
しかし本来のストーリーはあくまで成功した救出劇ということで
最後は囚人すべてが救出され、全員で高らかに「この日に祝福あれ」を歌い上げるのです。
で、舞台には、殺されたフロレスタンとフィデリオ、再会を喜ぶフロレスタンとフィデリオ、
二組が同時に存在している。
これってシュール劇だったのか…?

今月24日の毎日新聞の批評によれば
この舞台の初日(20日)では、メディア関係者を含む海外からの観客・聴衆が約100人も集まり、
終演後には喝采に交じって激しいブーイングも浴びせられたということです。
昨日の舞台ではそこまでではありませんでしたが、ブーイングの声も聞かれました。
”善懲悪の単純なハッピーエンドに収めるのではなく、そこに今の時代を反映させたメッセージが込められ、観客・聴衆は終演後も見たばかりのステージについてさらに思いを巡らす。
それが彼女のスタイルであり、ドイツを中心としたオペラ界を席巻するムジーク・テアターの潮流でもあるのだ”
と記事では断じています。

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あまりに直球な救出劇に捻りを加えて、アイロニカルな意味を持たせたかったのか?
でもあれでは、どう考えても話の辻褄が合わない。
第一幕の舞台は刑務所の1階と暗い地下牢の2階建て、
第二幕では更にその下の地下牢がせり上がってくるという3階建ての
大掛かりなハイテク舞台機構は見応えがありましたが…
謎の残る演出の、新制作作品でした。

「フィデリオ」http://www.nntt.jac.go.jp/opera/fidelio/

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