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2016年12月15日09:16

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「マダム・フローレンス 夢見るふたり」

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1945年にNYのカーネギーホールでコンサートを開き、今も同ホールのアーカイブの
一番人気となっている実在のフローレンス・ジェンキンス(メリル・ストリープ)の物語。
彼女は、資産家の父親からの遺産と、前夫からの慰謝料にものを言わせ、
NYの社交界の花形となり、40歳過ぎから音楽家としての人生をスタートさせた。
しかし本人だけが知らない公然の秘密、彼女は絶世の音痴なのであった。
彼女を献身的に支えるのは、年下の夫シンクレア(ヒュー・グラント)。
批判しようとするマスコミを買収し、信奉者だけを集めた小さなリサイタルを開催する。

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シンクレアは、英国貴族の庶子という触れ込みの役者崩れの男。
フローレンスを優しく支える傍ら、こっそり若い愛人を作って
妻が眠りにつくと、毎晩その家に帰るのです。
実はフローレンスは最初の夫から梅毒をうつされ、今も後遺症に悩む日々。
二人は夫婦として20年以上過ごしながら、性交渉は一度もなかったと。

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シンクレアが財産目当てで彼女に近づいたことは一目瞭然なのですが
しかし、二人の様子を見ていると、それだけではないことが伝わってくる。
経済的にはまるでオンブ、実に身勝手な愛し方ではあるけれど、そこには確かに愛があった。
フローレンスの天真爛漫さ、人柄に魅せられて、彼女に尽くすことによって
シンクレアは自分自身の矜持をも取り戻したような。
これを下品じゃなく演じられるのは、ヒュー・グラントを置いていないでしょう。

意外に楽しめた映画でした。
しかし気になったのは、あれだけ音楽を愛したフローレンスが
自分の音痴に気がつかないってあり得るのか?
彼女は幼少より音楽教育を受け、ピアノを教えていたこともあるというのです。

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(フローレンス本人)

Wikiによれば
”彼女の演奏したレコードを聴くと、ジェンキンスは音程とリズムに関する感性が
ほとんどなく、極めて限られた声域しか持たず、一音たりとも持続的に発声できないこと、
伴奏者が彼女の歌うテンポの変化と拍節の間違いを補って追随しているのがわかる”と。
そりゃ自分の音痴に気づいていれば、カーネギーでのコンサートなんてできないよねえ。
エンドロールに流れる、実在したフローレンス本人の歌声に実に説得力があります。
しかし”音楽は楽しむもの”というメッセージを世に伝えたということが
彼女の最大の功績なのかもしれません。

FLORENCE FOSTER JENKINS(2016イギリス)http://gaga.ne.jp/florence/

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