mixiユーザー(id:547825)

2016年12月13日17:25

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「コンビニ人間」

本年度芥川賞受賞作。
大学以来18年間コンビニのバイトとして働く、彼氏ナシの36才の恵子が主人公。
子どもの頃から他人とは感性が違い、生きにくさを感じていたが
コンビニのバイトとして、そのマニュアル通りの動作、話し方をしてみたら
初めて自分の居場所を見つけたように感じる。

「そのとき、私は、初めて、世界の部品になることができたのだった。
私は、今、自分が生まれたと思った。
世界の正常な部品としての私が、この日、確かに誕生したのだった。」

以来18年間、恵子はコンビニのバイトを続けているのですが
彼女を取り巻く周りは、何故ちゃんと就職しないのか、何故結婚しないのか、
何故普通でないのかと彼女を問い質す。
ところがどんなに非難されようとも、主人公はまったく動じないのだった。
恵子は、普通でありたいとも、そうでないことが恥ずかしいとも
これっぽっちも思わないのだから。
そこに現れたダメ男白羽を、世間への隠れ蓑に彼女は使おうとするのだが…
この新人バイトの白羽というのが、どうしようもないクズなのです。

コンビニで働く人たちを「底辺」と見下し、
自分はそのコンビニの仕事さえちゃんとやらない。
「皆が足並みを揃えていないと駄目なんだ。
何で三十代半ばなのにバイトなのか。何で一回も恋愛をしたことがないのか。
性行為の有無まで平然と聞いてくる。『ああ、風俗は数に入れないでくださいね』
なんてことまで、笑いながら言うんだ、あいつらは!
誰にも迷惑をかけていないのに、ただ、少数派だというだけで、
皆が僕の人生を簡単に強姦する」

自意識の極端に薄い恵子と、自意識のカタマリのような白羽。
被害者意識に押しつぶされそうになって恵子を責め立てる白羽と
何処までも冷めた恵子とのやりとりが、なんとも滑稽。

普通じゃないものを認めようとしない普通の人たち。
「異質」を排斥しようとする「普通」の暴力性。
この辺りのアイロニーはうまい!と思ったのですが
残念ながら私はあまりに普通すぎて(多分)、
そこまで面白いとは思えなかったのでした。

「コンビニ人間」 http://tinyurl.com/jmxcrov
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