下記は、2020.7.4 付の 産経抄 です。
記
民主主義国と、そうでない国との二極化が進行している。「世界がばらばらになっている間隙(かんげき)を縫って、中国が影響力を拡大している」。外務省幹部が語るように、新型コロナウイルス感染症の発生源である中国は、コロナ禍による各国の混乱に乗じて覇権を握る狙いなのか。
▼日本やフランス、英国など27カ国は6月30日に国連人権理事会で、「香港国家安全維持法」を施行した中国に対し懸念を示す共同声明を発表した。香港の高度な自治を保障した「一国二制度」を弱体化させると指摘している。中国を恐れる韓国は加わらなかった。
▼一方、それに倍するキューバなど53カ国が同理事会で、国安法を称賛する共同声明を出した。主権国家への内政不干渉は、国連憲章の重要な原則だなどともっともらしく主張するが、ありていに言えば中国からの巨額支援への返礼だろう。中国による条約破りも、香港の自由と民主主義も重視されなかった。
▼「これは米国対中国の懸案ではない。自由主義対権威主義をめぐる懸案だ」。ポンペオ米国務長官は1日の記者会見で訴え、中国の脅威に向けた「地球規模の連携」の重要性を強調した。だが、現実の世界の潮流は異なる。カネと力が何よりものを言うのが国際社会である。
▼安倍晋三首相は自由、民主主義、人権、法の支配という4つの普遍的価値観を掲げ、それを世界で拡大することを目指してきた。その方針は不変だとして、はなから価値観を共有する気がない国とどう対峙(たいじ)していくのか。
▼中国各地や香港に拠点を置く日本企業従業員と家族らは、中国に人質にされかねない。中国が蛇口を閉めれば、マスクも薬もたちまち不足する。まずは、中国への過度な依存を改めなければ身動きがとれない。
https://special.sankei.com/f/sankeisyo/article/20200704/0001.html
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