下記は、2020.6.6 付の 産経抄 です。
記
日本人が日本の特長を誇ることが、まるで恥ずかしいよくないことのように非難されるのも、戦後の悪弊だろう。麻生太郎財務相は4日の国会で、新型コロナウイルス感染症による死者が、欧米主要国に比べ日本で極端に少ない理由についてこう述べた。「国民の民度が違う」。
▼ロックダウン(都市封鎖)など欧米が実施した強制的な措置は、法制上取れないにもかかわらず、自粛要請や呼びかけが奏功した「謎」に関し、外国から問い合わせがきた際に答えた言葉だという。これに早速、立憲民主党の蓮舫副代表がツイッターでかみついた。「貴方はどれだけ偉いのでしょう、麻生大臣」。
▼国民の文化程度の高さに自信を示すことが、どうして麻生氏自身が偉いという話になるのか文脈が分からない。蓮舫氏は「国籍を問わずコロナ感染症で亡くなった方、そのご家族のお気持ちに寄り添わず…」とも批判していたが、牽強(けんきょう)付会に過ぎよう。
▼麻生発言に関しては、予想通り数紙が5日付朝刊で批判的に取り上げていた。「他の国をおとしめることになりかねない発言だ」(朝日)、「波紋を広げる可能性がある」(毎日)。韓国のように自国のコロナ対応を自賛して日本を見下す国は、特に問題視しないにもかかわらず。
▼5日付小紙朝刊の国際面では、三井美奈記者が緩みが目立つフランスの今を報告していた。ルールに抵抗する国民性から、政府は問答無用の法律で押し付けるしかないのだという。記事は「国のかたちはさまざまだ」と締めくくる。
▼各国それぞれだからこそ、日本も日本流のやり方に自信を持っていい。ところが、日本が他国より劣っていたり、失敗して叱られたりしていないと落ち着かない奇病が、一部で重篤化している。
https://special.sankei.com/f/sankeisyo/article/20200606/0001.html
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