下記は、2020.3.28 付の 産経抄 です。
記
新型コロナウイルス克服後の世界情勢は、これまでとは一変していることだろう。「中国のメッキがはがれたのは大きい。しかも被害は、自分たちにも及ぶのだと欧州諸国も理解した」。外務省幹部が指摘するように、中国の経済力に目がくらんでいた各国は、その危うさを思い知ったはずである。
▼27日に中国の習近平国家主席と電話会談した米国のトランプ大統領は会談終了後、怒りをあらわに批判してきた中国に対し、ツイッターで敬意を示した。とはいえ、額面通りには受け取れない。トランプ氏流の交渉術だとみられる。
▼それが証拠に25日の先進7カ国(G7)外相会合でも、ポンペオ米国務長官は中国が嫌がる「武漢ウイルス」との呼称を用い、中国による隠蔽(いんぺい)が世界に感染を拡大したと強調している。採用されなかったが、共同声明に武漢ウイルスと明記することも主張した。
▼「感染が拡大する国にできるだけの援助を行いたい」。習氏は26日の20カ国・地域(G20)首脳会議でこう申し出た。感染拡大を招いたという汚名をすすぎたいとの思惑が透けるが、ポンペオ氏はこうした中国の姿勢についても手厳しかった。「中国は正義の味方気取りだ」。
▼G7で初めて中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に加わるなど関係の深いイタリアで、8千人以上が亡くなる感染爆発が起きているのは偶然とはいえまい。経団連から中小企業まで、サプライチェーン(部品の調達・供給網)を過度に中国に依存してきた日本にとり、決して対岸の火事ではない。
▼安倍晋三首相は、1つの国への生産依存度が高い製品について、生産拠点の国内回帰を後押しする考えを表明した。政府も民間も中国との関係について再考し、見直してもらいたい。
https://special.sankei.com/f/sankeisyo/article/20200328/0001.html
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