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2020年01月24日11:02

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突然のロシア改憲、総辞職の裏側 新潟県立大学教授・袴田茂樹

 下記は、2020.1.21 付の 正論 の記事です。

                        記

 ≪世界を驚かせた政治決定≫

 ロシアでは毎年大統領が施政方針として年次教書を発表しているが、この1月15日のプーチン大統領の教書発表は異例だった。前半は少子化の克服といった人口問題から始まって出産する母親支援、貧困家庭の救済、経済発展計画など一般国民向けの通常の政策発表だった。しかし後半でガラリと内容が変わり、また年次教書演説直後の政治決定が世界を驚かせた。

 教書の後半は、露憲法の根本的改革の発表で、実質的には行政、司法、立法の「政権の関係(バランス)を本質的に変える」という大きな制度改革および新憲法制定に近い内容だった。そしてその直後にメドベージェフ首相が、大統領と同席する場で唐突に首相と全閣僚の総辞職を発表したのだ。

 その理由も異例だった。首相は大統領が発表したばかりの憲法と国家体制の根本改革に関して、「大統領が必要な決定を全て採択できるように」内閣総辞職を行う、というのだ。大統領は首相に安全保障会議副議長のポストを新設して与えた。その議長は大統領自身だ。

 その数時間後には、大統領は政治的に全く無名のミシュスチン税務局長官を首相に指名し下院で承認された。全閣僚の突然の辞任に関しては、何(いず)れの省やその閣僚にとっても、青天の霹靂(へきれき)だった。また次期首相候補としては、シルアノフ副首相、クドリン元財務相、モスクワのソビャニン市長など何人かの名前が噂になっていたが、彼らにとっても国民にとっても、大統領が指名した候補は地味なテクノクラートで予想外だった。

 法律では辞職後2週間以内に組閣しなくてはならない。もちろんこの決定はプーチン大統領とメドベージェフ首相および大統領の最側近のみが内密で決定したことで、典型的な大統領独裁だ。

 露では近年、油価下落、欧米の経済制裁、汚職・腐敗などの影響で経済と国民生活が悪化し、年金受給年齢引き上げに国民は反発、社会の閉塞(へいそく)感が強まり、意欲的な若者の多くが国外移住を望むなど、社会不満が高まっている。

 
≪支持率低下の中で危機感≫

 その結果、政府や地方行政府、与党「統一ロシア」などの支持率は調査によっては30%を切るまでに下がった。この状況に危機感を抱いた大統領が打ち出したのが今回の憲法改正と政治体制の改革だが、露国民や世界の関心は2024年までの大統領任期終了後のプーチン大統領の身の振り方だ。彼は24年でもまだ71歳であり、彼に対抗する有力な政治家がいない現状では当然大統領は何らかの制度変更を行いトップの座を守るだろうとの推測が国内外でも強い。

 これまで噂に上った大統領任期延長策には次のようなものがある。(1)大統領任期は連続2期までとの現行憲法を改定して、連続3期以上の任期を可能とする案。しかしこの案は、昨年プーチン氏自身が否定し、「任期は通算2期まで」との考えを公表した。つまり、途中で中断しても合計2期を超えてはならないとの考えだ。

 (2)1999年のベラルーシとの連合国家合意を基に、新たな連合国家と新憲法を制定し大統領を継続する。ただ、ベラルーシのルカシェンコ大統領は露と対立することが多く、現実的でない。(3)カザフスタンのナザルバエフ前大統領のように、大統領引退後も大統領以上に強大な権限を有する組織のトップとなって院政を布(し)く。

 今回一挙に浮上し話題になっているのが(3)の院政案だ。大統領が提案した憲法や制度の改革には次のような内容が含まれる。国会の権限を強化し大統領の権限を縮小して、首相や閣僚の任命権を大統領から国会の下院に移す。

 
≪プーチン氏院政の布石か≫

 現在は諮問機関にすぎない地方知事らが加わる国家評議会を、憲法が定める実質的で強力な権力機関にする。排外的な国家主権の強化。すなわち、国際法より露憲法が優先され(現憲法は逆)、大統領は露に連続25年(現在は10年)以上常住、主な国家指導者や国会議員、裁判官は、現在も過去にも外国の国籍や居住権を有していない、などの条件がついた。

 一見、議会制民主主義の強化とも見えるが、これらの改革案がこれまで国民や国会で真剣に討議されたことはなく、前述のように大統領の独断的提案である。首相や現内閣の総辞職も、国民の不満を彼らに転嫁しプーチン氏の支持率を上げるためともみられる。

 従って、プーチン氏が2024年以後も、国会議長とか国家評議会議長として大統領以上の強大な権限を有する院政のための布陣だとの見解が一挙に広まり、露でも反プーチン勢力からは一斉に批判の声が上がった。独立系の露紙にも「プーチンからプーチンへの権力移譲」とか「ロシアに皇帝が誕生」といった言葉が躍る(ノーヴァヤ・ガゼータ)。

 日露関係への影響だが、プーチン時代、特に最近露の対日姿勢が強硬化した。平和条約に関してもプーチン氏は、事実上自ら締結することを拒否する発言もしており、残念ながら期待できない。(はかまだ しげき)

 https://special.sankei.com/f/seiron/article/20200121/0001.html
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