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2019年07月16日09:07

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韓国の言い訳はいかに「その場しのぎ」か、元駐韓大使が検証

 下記は、2019.7.16 付の ダイヤモンドオンライン に寄稿した、武藤正敏 氏の記事です。

                        記

 日本が韓国に対し、フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3品目について貿易管理上の優遇措置を撤廃したことへの韓国の対応は、昨年のレーダー照射問題の時と同じように、問題をすり替え、すぐ誤りとわかる言い訳をするというものであり、これでは問題の解決にはならない。

 韓国政府の言い訳がいかにその場しのぎのものか検証し、韓国にとって、より効果的な対応は何か考えてもらうべく、提言したい。


これは「元徴用工」問題に

対する報復ではない

 この措置は、あくまでも安全保障上の理由から取る国内運用方法の見直しであり、「徴用工問題」への報復ではない。「元徴用工」問題に関連する報復措置であるならば、全面禁輸措置を取っていたであろうし、韓国経済への直接的影響は、はるかに深刻なものになっていただろう。

 日本が戦略物資についてしっかり輸出管理を行うことは国際的な義務である。これまで日本から韓国に輸出されたものについて、韓国での取り扱いに不適切な事例が多く見つかったため、これを是正せざるを得なくなったということである。韓国政府は、国会の野党議員からの資料要求で、戦略物質の不正輸出事例が2015年から19年3月までの間に156件摘発されたとの情報を開示している。これが日本政府の言う不適切事例とどう関連するかは確認されていないが、疑わしいケースが多数あることは間違いなさそうだ。

 加えて、これまで輸出管理を包括的許可とすることに伴い、2年ごとに運用実態をチェックする協議が行われることになっていたが、文在寅政権発足後、まだ一度も行われていない。こうしたことから、これら3品目について包括許可を与えることは困難と判断したのだ。

 しかし、韓国は政府・国民をあげて、日本の輸出管理の運用方法の見直しを報復措置であると反発しており、WTO違反であるため協議と撤回を求めると主張している。韓国政府にとって、これが輸出管理上の日本の国内問題であると認めることは、日本への対抗措置を取りづらくすると判断したのかもしれない。

 輸出管理上の国内運用問題だと認めてしまえば、韓国政府は対抗手段がなくなり、自らの手足を縛ることになってしまう。WTOで争うことはより困難となり、米国に助けを求めることもできなくなるだろう。また、北朝鮮との関連で自ら制約要因を課すことになりかねない。

 自分の主張だけを正当化しても、そこに客観性が伴わなければ誰も説得できない。韓国の主張通りならば、日本が全面禁輸措置を取っていたかもしれないと考えたことはあるのだろうか。自分の都合だけで判断しないで、客観的に状況判断すべきではないのか。


韓国は日本が包括的な輸出許可に

応じる信頼を損なった

 日本が包括許可を個別許可に切り替えた要因の一つが、輸出管理に関する協議が3年間行われていないことである。

 韓国は、協議を行う時期に、日本の担当局長が欠員であったことを上げていた。しかし、日本政府は2日後に、局長は在職であったことを明らかにした。仮に当時欠員であっても、新局長が就任してすぐ開催すればいいことであり、3年間も開かない理由はない。

 そもそも、この協議は通常課長レベルで行っているものだ。これらを勘案すると、韓国の主張がいかに根拠のないものか一目瞭然である。

 5月17日付けの朝鮮日報は、保守系野党議員の要請を受け、産業通商資源部が情報開示した「戦略物質 無許可輸出摘発現況」に関し報じている。その156品目の内訳は、生物・化学兵器関連物質71件、通常兵器関連物質53件、核兵器関連物質29件などとなっている。この不正輸出先には、中国、ロシア、シリア、イラン、パキスタン、アラブ首長国連邦など、北朝鮮と関係の深い国が含まれており、こうした品目がこれらの国々を経由して北朝鮮に流れていたとしても不思議はない。

 また、状況証拠的に見ても、文在寅政権は金正恩委員長の機嫌を損なわないよう、北朝鮮の嫌がることは何もしたがらない。北朝鮮に戦略物資が送られたとしても、これを差し止めるだろうかとの疑念を持つことは決して不自然ではない。

 それだからこそ、であろうが、韓国は日本の一部で北朝鮮との関係を疑っているとの報道を受け、日本を痛烈に批判している。韓国政府は、「最近日本から輸入したフッ化水素が北朝鮮に流出したといういかなる証拠も見つかっていない」と指摘。また、朝鮮日報も「露骨に北朝鮮と関連づけようとしている」「日本は隣国に対する経済報復を合理化しようとフェイクニュースまで動員する国に成り下がったのか」と報じている。

 しかし、こうした不適切事例が北朝鮮にこれらの物品が輸出されたものではないとするならば、韓国政府自身がこの事例について、どの企業が関与して不正輸出されたものか、その最終目的地はどこかを調査して、公表すべきである。

 こうしたフォローアップを行っているのかどうかは、公表された資料からは明らかになっていないが、日本を批判するのであれば、しっかりとした根拠を示して批判すべきである。もしフォローアップを行っていないのであれば、韓国の物品管理がいかにいい加減か、あきれ返るばかりである。

 今のような状況で、韓国が日本に引き続き包括許可を求めることなどできない。

 韓国の野党「正しい未来党」の議員は、日本安全保障貿易情報センターの調査の結果明らかになったとして、1996〜2003年の間に日本から北朝鮮に30件以上の不正輸出が摘発され、これには核開発や生物・化学兵器関連の物質も含まれると指摘している。

 しかし、韓国と日本の不適切事例の根本的な違いは、日本は輸出される前に摘発しているのに対し、韓国は輸出された後に摘発したに過ぎないことである。その違いを考えもしないで日本を韓国と同列に扱ってほしくないものである。


言い訳を続けている限り

問題の解決はない

 日本政府は韓国と協議し、この措置を撤回することは考えていない。しかし、韓国政府は、この問題の韓国経済への影響を最小限にとどめるためには、この問題と正面から向き合う以外にない。

 それには文大統領の決断が鍵になり、経済官庁にできることではない。文大統領は10日になって財界トップと会談したが、1人3分の発言時間では財界の抱える困難は理解できないだろう。それは、あくまでもこの問題に取り組んでいるという、国内向けの宣伝に過ぎない。

 輸出管理の問題は、全面禁輸の措置とは違い、不正な流用がなく適正に使用されているのであれば許可される。加えて、その許可に要する時間も、通常90日といわれるよりもはるかに短期間であるとの話も聞く。

 いずれにせよ、今回の措置に伴う直接的な影響は、韓国政府が懸念するよりも小さいものとみられる。したがって、韓国政府・国民は日本に対し感情的に反発するのではなく、理路整然と不正輸出の事例をきちんと説明し、今後の不正を極小化する努力をしていくことが、現在取り得る最善の道ではないだろうか。

 WTOに提訴しても、判断が示されるまでには長い時間がかかる。それに、安全保障に関連した輸出管理の問題であるため、韓国の立場に同調する国も上級委員もいないのではないだろうか。老婆心ながら、より現実的な努力をする方が得策ではないかと思う。


韓国経済の不振の原因は

日本の輸出管理の問題ではない

 文政権の経済運営のせいもあり、昨年の韓国企業の海外投資は、一昨年と比べ倍増し、逆に外国からの韓国への投資は、本年上半期に半減しているという。そうした中で、韓国の不正輸出が疑われ、日本との経済摩擦が深刻化すれば、韓国国内への投資意欲はいっそう減退するだろう。

 さらに、日本製品不買運動までやれば、韓国の消費市場はいっそう縮小し、韓国経済の足かせとなることは間違いない。そうした韓国経済全体を見渡してみた場合、日本の措置による直接的なマイナス効果は大きくなくても、韓国経済がいっそう萎縮していくことは避けられないかもしれない。

 文政権のこれまでの経済運営の結果、世界の格付け機関、韓国の民間経済研究所ばかりでなく政府系の研究所も、今年の韓国経済の見通しを下方修正している。直近の韓国経済の現実には悲観的にならざるを得ない。文政権は日本の対応をいいことに、韓国経済の失速は日本のせいだと言うだろう。しかし正確に言えば、文政権の経済運営が主たる要因だ。

 下手な言い訳をしても日韓関係も韓国経済も良くならない。大統領の政治は結果責任でもある。現実を直視し、国益を考えた責任ある政治を行ってほしいものだ。

(元・在韓国特命全権大使 武藤正敏)

 https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%e9%9f%93%e5%9b%bd%e3%81%ae%e8%a8%80%e3%81%84%e8%a8%b3%e3%81%af%e3%81%84%e3%81%8b%e3%81%ab%e3%80%8c%e3%81%9d%e3%81%ae%e5%a0%b4%e3%81%97%e3%81%ae%e3%81%8e%e3%80%8d%e3%81%8b%e3%80%81%e5%85%83%e9%a7%90%e9%9f%93%e5%a4%a7%e4%bd%bf%e3%81%8c%e6%a4%9c%e8%a8%bc/ar-AAEmUqL#page=2
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