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2019年06月18日13:51

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麻生氏「年金受給記憶ない」発言が物議 共産党・小池氏のでたらめな批判内容

 下記は、2019.6.18 付の ITmedia ビジネスオンライン の記事です。

                        記

 老後資金は2000万円不足する……先日から金融庁の資料が話題になっている。

 100年安心ではなかったのか? と多数の批判が出る一方で、老後資金の不足なんて今さら常識……と議論の対象になっている。

 選挙を控えた与党議員は、火消しに躍起になり、トンチカンな言動を繰り返している。麻生太郎財務大臣は報告書の受け取りを拒否し、他の議員も「報告書はもうない」「選挙を控えている人に迷惑」「金融庁は撤回しろ」「金融庁は猛省しろ」など、与党側から無責任であきれ返る発言が多数飛び出している。

 本来であればファイナンシャルプランナー(FP)として「2000万円」に関する本質的な話をしたいところだが、議論の過程で年金に関する勘違いを助長する話が出ている。麻生金融担当相の「年金の受給について記憶にない、秘書に任せている」という話と、それに対する批判だ。

 これを放置すれば、老後に年金をもらえず困ってしまう人が出る可能性がある。それどころか、社会保障制度の利用そのものに支障をきたす人が出てきかねない。

●誤解だらけの麻生批判ツイート

 麻生氏が自身の年金について説明できないことは、確かに国会議員としていい加減といわれても仕方がない。一方でこれは最終的には本人の損得の問題であり、老後資金2000万円の問題と比較すれば枝葉末節の話でしかない。

 しかし麻生批判の中には的外れどころか、年金制度を誤解させかねないものまで含まれている。その1つが日本共産党書記長、衆議院議員の小池昇氏だ。

 小池氏は6月14日に以下、2つのツイートをしている。

 「麻生氏にとって公的年金は受け取っているかどうか気にならないほどの「はした金」にすぎないということ。同時に79歳であればいくら繰り下げ受給でも年金保険料未納でない限り受け取っていないはずはないので「受給しているかどうかわからない」ということは年金制度の基本を理解していないということ。」

 「こういう認識であれば、低年金で暮らしていけない人々の苦しみや怒りも、現役世代の年金制度に対する不安も不信も、まったく理解できないでしょうね。」

 このツイートは年金の受給について「秘書に任せた、記憶にない」という答弁への報道に言及する形で行われている。

 小池氏は麻生氏について、年金制度の基本を理解していないと批判している。しかし「79歳(麻生氏の年齢は正確には78歳)ならば受け取っているはず」という発言から、小池氏も年金制度を理解していないことが分かる。しかも間違いは2つもある。

●所得が多いと厚生年金はもらえない

 麻生氏の経歴を見ると、政治家になる前は実家が経営する麻生産業(現在の麻生セメント)で働いていたことが分かる。その頃は厚生年金に加入していたことはおそらく間違いないだろう。そして年金の繰り下げといって、遅くもらい始めれば支給額が増える仕組みがある。1カ月で0.7%の増加、最大で5年間繰り下げると42%増える仕組みだ。

 麻生氏は昭和15年生まれで60歳から年金がもらえる。最大限に繰り下げをしても65歳から受給開始のはず、だから保険料未納でもない限りもらっているはず、それを把握していないとは何事か、というのが小池氏のツイートだ。一見すると間違っていないように見える。しかし、これは大きな勘違いを含んでいる。

 一定の所得があると年金が減らされる、あるいはもらえなくなるという仕組みがある。これを「在職老齢年金」という。

 64歳までは、月額収入が28万円以下ならば全額支給、それ以上に収入が増えると徐々に年金が減り、47万円を越えると厚生年金の支給は停止される。

 65歳以降は47万円以下ならば全額支給、それ以上ならば一定額が減らされ、そして年金の支給額と収入次第で支給停止になる。

 日本年金機構のWebページでは、わざわざ議員向けに、「議員として報酬を得ていると厚生年金が減るか支給されない」という案内まである。支給停止の目安として、1カ月あたり20万円とかなり高額の厚生年金でも、65歳以上で1カ月あたりの報酬が66万円以上だと支給停止になるとある(ただし制度変更に伴う緩和措置もあり)。

 在職老齢年金は高齢者の動労意欲を減退させてしまうため、人手不足の現在、制度廃止の検討中と報じられている。もちろん、現状では収入があると年金が減る場合がある。議論の真っただ中である在職老齢年金について、与野党の議員ともに理解していないことにはあきれるほかない。

 もちろんこれは小池氏だけではなく麻生氏も全く理解していないことになる。自身の収入を考えれば厚生年金をもらっていないことは確認するまでもなく、双方とも年金制度を理解していない点ではどちらも同じだ。

減額・支給停止の計算式は日本年金機構のWebサイトを参照

「60歳台前半(60歳から65歳未満)の在職老齢年金の計算方法」

「65歳以後の在職老齢年金の計算方法」

 麻生氏の収入は国会議員以外にもあるようなので、収入の高さを考えれば、何か公になっていない特殊な事情でもない限り、この制度によって厚生年金はもらっていないだろう。

 厚生年金とは別に、国会議員年金は2006年に廃止されたが、廃止時点で受給資格があった議員は15%減額でもらえることになっている。麻生氏もこれに該当すると思われるが、支給開始は退職後なので受け取っていないはずだ。

 在職老齢年金はあくまで厚生年金の話となる。したがって、麻生氏がもらっているとしても国民年金部分のみではないか。

●年金は放っておいたらもらえない。

 小池氏のもう1つの間違いが「79歳なら受け取っているはず」と、一定の年齢を超えれば必ず年金を受け取れると思い込んでいることだ。これは極めて深刻な間違いで、勘違いでは到底すまされない。

 もし麻生氏が議員を引退していて、所得がほかになければ必ず年金を受け取っているのだろうか? 答えはNOだ。

 なぜなら現在の年金制度は、受給資格を得ても勝手にお金を銀行口座へ振り込んでくれたり、現金書留でお金を送り付けたりといった仕組みになっていないからだ。支給開始の3カ月前に、「あなたはこれから年金をもらえます」という「案内」は届く。ただし手続きをしない限りもらえない。日本年金機構のHPでもその旨が以下のようにはっきりと説明されている。

年金は、年金を受ける資格ができたとき自動的に支給が始まるものではありません。ご自身で年金を受けるための手続き(年金請求)を行う必要があります。

※支給開始年齢になった時 日本年金機構Webページより

 そして年金には「時効」もある。申請をしないまま5年間放置すると受給の権利が消えてしまう。つまり、無職で収入がない78歳の男性でも、年金受給の手続きを一切しなければ1円も年金をもらえない上に、5年放置すればその権利まで消えてしまう(ただし救済措置はある。※参照 年金の時効 日本年金機構)。

 このように、申請をしない限り年金がもらえない仕組みを「申請主義」という。これは老齢年金に限らず、障害年金や遺族年金、生活保護や失業保険、介護保険などほぼあらゆる公的制度に適用されている。社会保障制度の多くは、受給や利用の申請をしない限りお金をもらったり制度が適用されたりしない。

 この話を筆者がTwitterで少しつぶやいたところ、「健康保険とか年金の保険料は一方的に納付書が届いたり、給料から差し引かれたりするじゃないか」といったコメントが付いた。保険料の徴収については半ば強制的に行われるが、受給については申請しない限りもらえない。これが現在の制度だ。

●母親が年金の時効寸前に

 年金は5年で時効になるといった話は相当マニアックで、知らない人も多いだろう。なぜ筆者が知っているかというと、FPだからではなく筆者の母が実際この状況になったからだ。

 現在、年金の支給開始年齢は60歳から65歳へと何十年も時間をかけて移行中だ。筆者の母親もちょうどその狭間にいる。おそらくニュースや新聞などで、年金の支給開始が65歳に移行すると目にして、それが「今すぐ全員に適用される」と勘違いしてしまったのだろう。

 この移行は国民年金部分と厚生年金部分でタイミングがずれている上に、男女でも移行のタイミングにずれがあり、非常にややこしい。ある日突然60歳から65歳へと先送りになれば大混乱が発生するため仕方はないが、このような仕組みが母親を勘違いさせてしまったことは間違いない。

 そして65歳の時点で受け取りに行ったところ、あなたは60歳からもらえる予定だったんですよ、もう少しで当初の年金が時効になるところでしたよ、ともらっていなかった分をまとめて受け取ったようだ。母親もこの件については不親切だと文句を言っていたが申請主義とはこういうことだ。

●小池氏の勘違いは社会保障制度を阻害しかねない

 麻生氏については申請主義の部分まで誤解しているかどうかは不明だが、小池氏のツイートを見る限り、年齢のみを前提に、もらえないわけがないと書き込みをしている。これは年金のみならず申請主義について間違った理解をしていることになる。

 国政に携わる人がそんな細かいルールまで知らなくても問題はない、たまたま間違っただけ、揚げ足を取るな、と文句を言う人もいるかもしれない。

 しかしこの申請主義の仕組みは(良いか悪いかは別にして)日本の公的制度の根幹をなすものだ。申請主義を理解していれば、年金は高齢者になれば自動的にもらえるかのような批判をするはずもない。そして申請主義の原則を知らないと、前述したように社会保障や公的制度のありとあらゆる場面で損をする可能性がある。

 現状は、ただでさえ申請主義について誤解を招く仕組みになっている。就職をすると勝手に健康保険と年金の保険料が給料天引きになることから、公的な制度は受け身でいても自動的に国なり会社なりが勝手に手続きをしてくれると勘違いしている人も多いだろう。しかし申請主義はその真逆の仕組みだ。

 例えば生活保護は捕捉率が20%程度、つまりもらえるのにもらっていない人が80%もいるのではないか、本来の支給額は現在の5倍になるのではないか、とも指摘されている。これも申請主義の弊害といえる。

 現状で、申請主義は国民の利益を損なっている可能性が極めて高い。制度を知らない人、そして制度を知っていてもハードルの高いややこしい手続きを前に諦めてしまっている人など、本来制度を必要としている人にくまなく社会保障の恩恵が届いていないからだ。

 小池氏のツイートは執筆時点でリツイートが5000件、いいね!が7000件を超えるなど広範囲に拡散している。そしてほかにも同様の発言やツイートをしている議員や識者等も多数いるようだ。

 麻生氏を始め与党の対応は極めて無責任でずさん極まりなく、それを批判するのは当然だ。しかし間違った前提で批判することで、年金制度の誤解を広めることは到底許されない。それで被害を受けるのは与党議員ではなく一般の国民だ。

 まずは年金制度について、さらには社会保障全般について、誤解を与えかねないツイートを書き込んだ議員・識者は即刻訂正・削除すべきだ。

 老後資金2000万円については、前述の通り与野党ともに極めて無責任でいい加減な議論がなされているが、これについては別の記事で言及したい。

(中島よしふみ シェアーズカフェ・オンライン編集長 ファイナンシャルプランナー)

 https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e9%ba%bb%e7%94%9f%e6%b0%8f%e3%80%8c%e5%b9%b4%e9%87%91%e5%8f%97%e7%b5%a6%e8%a8%98%e6%86%b6%e3%81%aa%e3%81%84%e3%80%8d%e7%99%ba%e8%a8%80%e3%81%8c%e7%89%a9%e8%ad%b0-%e5%85%b1%e7%94%a3%e5%85%9a%e3%83%bb%e5%b0%8f%e6%b1%a0%e6%b0%8f%e3%81%ae%e3%81%a7%e3%81%9f%e3%82%89%e3%82%81%e3%81%aa%e6%89%b9%e5%88%a4%e5%86%85%e5%ae%b9/ar-AAD1yiL#page=2
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