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2019年05月19日17:28

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韓国ウォン急落、3度目の通貨危機に沈むか?〜日本へ急接近する狙い=勝又壽良

下記は、2019年5月19日 付の MONEY VOICE の記事です。

                       記

韓国経済は、厳しい局面へ向かっています。対ドルのウォン相場が急落しているからです。為替相場は国力のバロメーターです。ウォン安は、韓国の国力が低下していることを表しているのです。

韓国は、過去2回も通貨危機に見舞われています。対GDPの輸出依存度の高いことが、世界経済の影響を敏感に受ける体質を形成しました。現在の輸出依存度は、約40%になっています。

(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2019年5月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。


プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)

元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。


若者の失業が急増中。対中貿易の不振で韓国経済は行き詰まりへ

ウォンは通貨のカナリヤ

韓国経済は、米中貿易戦争の影響を強く受けます。韓国輸出の約4分の1が対中輸出です。さらに、全輸出の5分の1は、半導体が占めています。実は、この中国と半導体が、いずれも不振であるという事態に追い込まれています。こういう韓国の輸出構造から見て、ウォン相場は、アジア通貨では「カナリヤ」と見られています。

カナリヤは昔、坑道に入って作業する鉱夫の安全管理のために利用されてきました.坑内に有毒ガスが発生した場合、カナリヤが最初に反応するという特性を利用したものです。この伝でいけば、韓国ウォン相場の急落はアジア通貨異変の兆候と見られています。韓国にとってはなはだ迷惑な話ですが、貿易構造がそうなっている結果です。韓国人特有の「ひがみ根性」から言えば、承服できない話でしょう。

韓国は、これから世界三大格付け会社が、相次いで格付け作業に入ります。すでに、S&Pの審査は終わりました。結果は発表になっていませんが、「条件」が付くという予測がされています。つまり、半年後の「見直し」条件です。もし、格付けで引き下げられることがあれば、文在寅政権のメンツは丸潰れになります。

これまで、「マクロ経済は相対的に良好である。間もなくその成果が国民に届く」と確言してきました。それが、格付け会社の総合判断によって覆されれば、文政権は責任問題に発展します。

来年4月は、国会議員の総選挙です。格付け会社によって、経済実態が不調であると判断されれば、総選挙の結果に響いて来ます。与党の「共に民主党」が敗れれば、次期大統領選にも響きます。

このように、韓国は経済次第で政治状況が変わるので、ウォン相場の推移に注目が集まります。与野党が、逆転する事態も起こりかねません。

以上で、概略の説明を終えて、具体的に韓国経済の問題点を探って行きます。

1200ウォン割れ危機

対ドルのウォン相場が、一気に10ウォン以上も下落し、1190ウォンまで迫っています(※原稿執筆時点:2019年5月16日時点)。5月15日の終値は、1188.6ウォンで前日比0.8ウォン高となりました。1200ウォンが「マジノ線」と意識されています。理由は、このラインを割って下げ続けると、ウォン投機売りを誘い込み一気に危機ラインの1400ウォンへ持って行かれるリスクを抱えているからです。過去2回、韓国は通貨危機に陥っており、塗炭の苦しみを味わいました。耐乏生活を強いられたからです。

ウォン相場と関係の深い輸出は、昨年12月から前年同月比マイナスを続けています。5月に入ってもこのマイナス基調が続いています。これで、6ヶ月連続で前年比マイナスとなります。マイナス要因は、先に指摘しました対中国輸出と半導体輸出が振るわなかったことです。


この2要因は、今後どうなるでしょうか。

対中輸出と半導体輸出は回復するのか?

対中国と半導体は、米中貿易戦争と密接に絡んでいます。中国が米国へ輸出する多くの工業製品に韓国製半導体が組み込まれています。こうなると、米中貿易戦争が解決しないかぎり、韓国の輸出に展望が開けません。米中貿易戦争が始まった時点で、韓国は台湾などと並んで強い影響を受けると指摘されてきました。それが、いよいよ現実化してきます。

韓国政府は、これへの備えを全くしていません。輸出に期待できなければ、内需を補強する手段を取りませんでした。逆に、最低賃金の大幅引き上げで失業者を増やす最悪事態を招いています。


4月の失業統計が発表になりました。

4月の失業率は4.4%で、前年同月比0.3ポイントの悪化です。若年層(15〜29歳)の失業率は0.8ポイント悪化の11.5%。いずれも4月としては、アジア通貨危機(1997年)の影響が残っていた2000年以来の高い失業率です。

韓国の新年度は3月に始まります。日本の4月よりも1ヶ月早いのです。4月全体の失業率が4.4%、若年層は11.5%と聞くと、日本と比べて余りにも高くて卒倒しそうです。日本の失業率は2.5%(3月)です。

4月の失業者数は124万5000人(日本1〜3月平均165万人)です。1年前に比べ8万4000人の増加です。

4月の失業者数では2000年以来の高水準となりました。19年ぶりに高い失業者を出した最大の要因は、前述の大幅な最賃引き上げによるものです。韓国政府は、この最賃の大幅引き上げがいずれ成果を上げると強調しています。その時期はいつなのか。その時期について答えようとしません。これでは、経済の「ヤブ医者」と批判されるのは当然でしょう。患者(国民)の病状(失業率)が悪化しながら、「その内に直ります」と言っているに等しいからです。

ムーディーズ4つの質問

世界三大格付け会社の1つムーディーズは、4月24〜26日に韓国政府当局者に対して、格付け作業の予備調査をしました。その際、どのような質問をしたかが分かりました。韓国の政府当局がどのように答えかは分りません。ムーディーズの質問を掲示して、私のコメントを付けます。質問項目は、『中央日報』(5月15日付け)によります。この質問の中に韓国経済が抱える問題点が隠されています。

1.成長率目標(2.6%)は達成可能か

2.税収見通しが良くないが、財政健全性は悪化しないのか

3.過度な半導体依存に対する代案は何か

4.市場的だった韓国経済でなぜ全国民主労働組合総連盟(民主労総)のような反市場主義が勢力を強めるのか


私のコメントは次項の通りです。

韓国が抱える4つの問題点、それぞれ解消可能か?

私のコメントは以下の通りです。

<(1)成長率目標(2.6%)は達成可能か>

これは、率直に言って不可能です。この1〜3月期のGDP成長率は、前期比マイナス0.3%(年率換算でマイナス1.2%)です。期初の成長率はその年のGDP計算に大きな影響を与えます。4〜6月期も経済実態はなんら改善していません。輸出不振と内需不振が続いています。4月の失業率は、4月として2000年以来の高さという事実が、雄弁に雇用の悪化を示しています。

ムーディーズは、今年の経済成長率を2.1%と低く見ています。さらに厳しく予測している機関では1.6%と2%割れを見込んでいます。私は、2%割れが現実的な予測と考えています。輸出も内需も不振の韓国経済が、2.6%という政府目標の達成は未達でしょう。

<(2)税収見通しが良くないが、財政健全性は悪化しないのか>

韓国では、補正予算の編成について抑制的な姿勢です。財政健全化を維持する目的です。朴槿惠(パク・クネ)政権は在任中、1回しか補正予算を編成していません。ところが、文在寅政権は過去2年間で3回も補正予算を編成しています。最賃の大幅引き上げが失業者を増やしたので急遽、財政でアルバイトを雇用する本末転倒な事態に追い込まれました。

文政権は、最賃の大幅引き上げの見直しをする考えはありません。雇用悪化は財政支出でカバーする方針です。これによって、来年4月の総選挙を乗り切る方針のように見えます。依然、財政支出拡大は続くでしょう。財政均衡は保てません。

<(3)過度な半導体依存に対する代案は何か>

全輸出の5分1は半導体です。この過度の依存から抜け出すには、他産業が伸張しなければなりません。だが、自動車は米中の2大世界市場で販売シェアが後退し続けています。理由は、時代の流れにマッチした車種を発売しなかったことです。SUV(多用途自動車)が若者に人気でも品揃えができないなど、流行の変化に鈍感でした。


韓国の2大産業は半導体と自動車です。自動車は競争力を失っています。これに代わる産業がありません。文政権は、規制が厳しく新産業の創出を阻んでいます。全自動運転車でも、道路上の規制が厳しく開発は進んでいません。


原子力産業は、文政権による突然の廃止政策で技術者の海外流出が進んでいます。もはや、輸出産業になれる基盤を失いました。福島原発事故による被害を過大に膨らませ、韓国国内で宣伝活動をしました。これを行なったのが市民団体です。太陽光発電の関係者でもあり、巧妙に利益誘導した形となりました。太陽光発電では、原発の100倍の敷地が必要です。韓国には平地が少なく、山地を切り崩す自然破壊によって太陽光発電を行な。こういう矛楯が起こっています。

<(4)市場的だった韓国経済でなぜ全国民主労働組合総連盟(民主労総)のような反市場主義が勢力を強めるのか>

韓国経済の規制緩和にあたって、最大の障害になっています。生産性を上げることに協力せず、賃金だけを引き上げさせる集団と化しました。韓国経済を悩ましている最低賃金の大幅引き上げの裏に、この労組が圧力をかけています。民主労総は、「働かず・長期勤務・高賃金」という3つの目標を掲げています。これらを具体的に説明すると、次のような内容です。

・働かず=生産性向上に協力しない

・長期勤務=終身雇用維持

・高賃金=年功序列賃金

前記の3点は、閉鎖的な賃金体系を固守するものです。世界的な動きは、労働市場の流動化です。韓国ではこれに逆行する「反市場的」動きをしています。この労組は、文政権を支えていますので、政権ぐるみで「反市場的」行動を取っています。韓国経済に希望を持てない理由はここにもあります。

日本へ接近する狙いとは

私は、ムーディーズの提示した4つの質問にコメントを付けました。ムーディーズが、このコメントを「了」として、韓国経済の格付けを再検討すれば「格下げ」になるでしょう。

ムーディーズは6月に、韓国の新格付けを発表するとみられます。「格下げ」を暗示するような形になれば、韓国政府のこれまでの超楽観的発言が否定され大騒ぎになります。その時、韓国政府は最低賃金の大幅引き上げを修正するのか。無視するのか。韓国経済をめぐる政策の混迷が、深まると見ております。

この段階で、ウォン相場は1ドル=1200ウォンを大きく割り込んでいれば、日本へ通貨スワップ協定を申し込んで来るかも知れません。

その場合、日本はどのよう対応すべきでしょうか。

文政権の排日姿勢から見て断ることです。韓国を一度、厳しい局面へ追い込むべきです。日本に対して不条理な要求を出すと、後で大変なしっぺ返しを食うという事実を、DNAとして残させるべきでしょう。

https://www.mag2.com/p/money/679939
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