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2019年03月22日13:15

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韓国半導体2強が、「電力」でまさかの事態に

 下記は、2019.3.22 付の JBpress に寄稿した、玉置 直司 氏の記事です。

                       記

 「スーパーサイクル」と呼ばれた空前の半導体好況に暗雲が漂い始めているとはいえ、半導体は韓国の看板産業だ。

 サムスン電子とSKハイニックスは、2018年にそれぞれ6兆円、2兆円もの利益をたたき出した。そんな2社が、「電力確保」で予想外に苦労し、苦肉の手を打つことになった。

 2019年3月4日、SKハイニックスは主力の利川(イチョン)、清州(チョンジュ)工場内に、それぞれLNG(液化天然ガス)発電所を建設すると発表した。

 2020〜2022年に1兆6800億ウォン(1円=10ウォン)を投じて、570メガワット級の発電所を建設する。それぞれ一般家庭50万世帯に電力を供給できるほどの規模だ。

脱原発政策とは無関係との説明

 「電力の安定的な確保のため」という説明に、産業界でも驚きの声が上がった。小規模のバックアップ用発電所としては規模が大きいからだ。

 今の政府のエネルギー政策に批判的なメディアはこのニュースに飛びついた。

 文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)政権は、「脱原発政策」を進めている。

 環境問題や将来のエネルギー需給、電力料金などの面で批判的なメディアは、「今の政権の脱原発政策によって将来、十分な電力を確保できないという懸念を持ったため」と報じた。

 政策批判の格好の材料になってしまった。

 こうした報道にあわてたSKハイニックスは「脱原発政策とは関係ない経営上の判断だ」と全面的に否定した。

 では、いったい、どうして巨額の資金を投じて発電所を建設することになったのか。

 1つは、経費削減を狙ったとの見方が多い。

 SKハイニックスが負担した2018年の電力代は9275億ウォン。1000億円近い金額だ。設備拡張などもあって2017年に比べて18%増加した。

 韓国電力公社は、深夜料金の引き上げなど主に産業用の料金を引き上げることなどを検討しており、SKハイニックスにとっては頭痛のタネだ。

 もう1つは、「将来の安定的な電力確保」だ。

 韓国ではここ数年、夏場と冬場に電力需給が逼迫する事態が起きている。半導体工場は規模が大きく、電力消費も多い。

 半導体製造工程はほとんどが機械化、自動化されており、短時間でも、電力需要に問題が生じると、大きな障害が生じかねない。

 もっと差し迫った事情もある。

コスト、安定、さらに切迫した理由

 SKハイニックスは、サムスン電子追撃のために大型投資を続けている。

 利川工場には今後10年間で20兆ウォン、清州工場には35兆ウォンを投資して生産ラインを一気に拡大する計画だ。

 大規模な電力需要がある工場拡張のペースがあまりに速く、「韓国電力の送電線敷設が追いつかない」(韓国紙デスク)という問題も出てきた。

 かといって、韓国電力の計画を待っているわけにはいかない。そこで、自前で発電所を建設してしまえということになった。

 こうした理由に対して、韓国電力は、「過去20年間にわたってSKハイニックスの工場に電力を供給してきたが、停電は2回で合わせて11分間だけだった。世界最高水準の電力を安定的に供給してきた」とだけ説明している。

 「大口顧客の要望に応じられなかったのか」と見られかねないだけに、韓国電力としては、何となく釈然としない様子がうかがえる。

サムスン電子は送電線地中化問題

 「電力」で難題にぶつかったのはライバルのサムスン電子も同じだ。

 2019年3月12日、国会である「合意書」が取り交わされた。署名したのは、サムスン電子、韓国電力とソウル郊外にある京畿道安城(アンソン)市の住民団体と仲介役の地元選出の国会議員。

 いったい何の合意なのか。

 サムスン電子は、京畿道平沢(ピョンテク)に巨大な半導体工場を増設中だ。

 韓国電力はサムスン電子工場に電力を供給するために送電線を敷設する計画だが、送電線の敷設予定地近くの安城市の住民が「送電線の地下敷設」を主張して工事に強く反対していた。

 送電線は全長24キロメートル。このうち1.5キロメートル部分に住む57世帯の住民が「健康上の懸念がある」などとして反発していた。

 全国に送電線を敷設している韓国電力としてみれば、住民の要望だからとコストがかさむ地中化に簡単に応じていてはきりがない。かといって住民の反対を押し切って工事を強行することも避けたい。

 この問題は5年間にわたって漂流した。最も困るのは、工場稼働時期が決まっているサムスン電子だ。

 結局、半導体工場の稼働に間に合うようにとりあえず送電線は敷設するが、すぐに地下化することで合意した。

サムスン電子が6000億ウォン近く負担

 サムスン電子は、送電線や地下化費用など合わせて6000億ウォン近くを負担することになった。

 住民の強い反対で送電線敷設のめどがたたないと、サムスン電子の半導体生産計画に大きな打撃となりかねない。

 サムスン電子は2023年に平沢工場第2ラインを稼働させる計画で、そのためにはぎりぎりの合意だった。

 電力ユーザーであるサムスン電子が電線を敷くために巨額の資金を出す。「どうして?」と思えなくもないが、サムスン電子にとっては苦渋の選択だったようだ。

 サムスン電子と韓国電力、地元住民などとの合意については、「大容量送電線は事実上サムスン電子のためだけのもので、応分の負担は当然だ」という意見もある。

 それでも、「合意のための負担額があまりに巨額で、今後、住民が反発すれば企業が大きな負担を強いられる前例となる」という懸念も根強い。

安くて質の高い電力が工場誘致の売り物だったが…

 韓国を代表するサムスン電子とSKハイニックス。巨額の半導体設備投資計画の影で、「電力確保」という思いもよらなかった難題に直面してしまった。

 韓国はこれまで、外国企業の誘致に積極的だった。特に日本企業を誘致する際の決め手が「安くて良質の電力」だった。

 韓国に進出している日本企業の間では「産業用の電力料金はちょっと前までは、ざっと日本の半額程度で供給は安定しており、質も高い」という評価が多い。

 それだけに、サムスン電子とSKハイニックスの最近のニュースに、不安を抱きながら大きな関心を寄せている。

 https://www.msn.com/ja-jp/news/money/%e9%9f%93%e5%9b%bd%e5%8d%8a%e5%b0%8e%e4%bd%932%e5%bc%b7%e3%81%8c%e3%80%81%e3%80%8c%e9%9b%bb%e5%8a%9b%e3%80%8d%e3%81%a7%e3%81%be%e3%81%95%e3%81%8b%e3%81%ae%e4%ba%8b%e6%85%8b%e3%81%ab/ar-BBV4jfi#page=2
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