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2018年12月11日15:11

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日本の水が外国資本に売り飛ばされる!?「水道民営化法」成立で料金高騰&サービス低下は必至

下記は、2018.12,11 付の 日刊SPA!の記事です。

                       記

 12月6日、水道事業を「民営化」しやすくする改正水道法が成立した。水道インフラの老朽化や、人口減による収益の先細りが深刻化していた水道事業を立て直すため、政府は民間の力を活用する「コンセッション方式」の導入を推進していたが、今回の新法成立を機に、水道事業の主体である自治体は、所有権を有したまま、運営権を民間に売却できることとなった。

 だが、入管難民法改正を巡る議論のドサクサに紛れた採決は、やはり拙速だったと言わざるを得ない。なぜなら、海外では失敗事例が後を絶たず、’00〜’15年の約5年間で37か国、計235もの水道事業が、民営化した後に料金値上げやサービスの質の低下を招き、「再公営化」を余儀なくされているからだ。にもかかわらず、厚労省は過去に調査した3つの失敗事例を上げるのみで、国会では噛み合わない議論が繰り返されるばかり。

 「失敗した事例をしっかり分析し公の関与を強化する仕組みにしている」

 「3例(しか調べてないで)よく言えますね」

 法案の審議中、根本匠厚労相の答弁に対し野党議員がこう切り返していたのが象徴的だった。すでに日本の水道料金は自治体によって8倍の開きがあり、日本政策投資銀行の試算では、将来的に水道料金の値上げは全国平均で63.4%に達するとみられている。

 果たして、我々の暮らしの生命線である水道は、今回の新法成立を機にどう変わるのか? 近著『日本が売られる』(幻冬舎新書)のなかで、世界の潮流と逆行する水道民営化に疑問を呈するジャーナリストの堤未果氏が話す。

 「新刊にも詳しく書きましたが、民営化後、ボリビアでは2年で35%、南アは4年で140%、豪州は4年で200%、仏は24年で265%、英国は25年で300%と、軒並み水道料金が高騰しています。南アでは、料金が払えずに1000万人が、英国でも数百万人が水道を止められ、フィリピンではこうした人々に市民が水を分け与えることまで禁止された。水道料金が平均月収の4分の1ほどに高騰したボリビアはさらに深刻で、採算が取れない貧困地区では水道工事が一切行われず、料金を払えない市民が井戸を掘ると『同じ水源なので、勝手に水をとるな!』と井戸使用料まで請求される事態となった。

 追い詰められた市民が水を飲もうと公園に行くと、今度は水道会社が蛇口を使用禁止にしてしまい、最後の手段で雨水をバケツにためると、1杯ごとに料金を徴収されるありさま……。もう汚れた川の水を飲むしかなく、感染症でバタバタと人が死んでも、水道会社の姿勢は変わりませんでした。そして’99年、市民の大規模な暴動が発生するに至ります。コチャバンバ水紛争といわれるこの騒動は、水道会社vs市民のまさに“水戦争”でした」

◆水も外交や経済の切り札になっている

 コチャバンバ水紛争は、「新自由主義」と市民の闘いとして語られることも多い。赤字塗(まみ)れで普及が進まなかった水道インフラを拡充するため、ボリビア政府は世界銀行に支援を求めたが、そのとき世銀が出した融資条件が「水道事業の民間企業への売却」と「フルコスト・プライシング(かかる開発コストのすべてを利用者が負担とすること)」だった。途上国のボリビアは条件を受け入れる以外に道はなく、水道公社を米国企業に売却。その後、井戸水やためた雨水に至るすべての水資源が米国企業の独占管理下に置かれ、大混乱を招くこととなった。堤氏が続ける。

 「公営事業の民営化が、サービス向上や料金値下げなど国民のメリットに繫がるのは、競争原理が働き、複数の企業が競い合うからです。ところが、水道事業には競争原理が働かない。というのも、電気事業は1つの送電網を何社かの電力会社が共有するが、水道事業の場合、1本の水道管で1つの地域や自治体をカバーするので、完全な1社独占になってしまうのです。複数の企業が参入していれば、乗り換えという選択肢もあるが、独占市場では料金が高かろうが、水にサビが混じろうが、文句は言えない。

 加えて、3.11後、電気料金の総括原価方式が問題視されたが、水道もこの方式を採用しており、水道設備の運営・維持費用などの経費以外にも、株主配当や役員報酬、法人税や内部留保まで料金に上乗せできてしまう……。今回、成立した法律は、運営権を企業に売却した自治体には地方債の利子を減免するなど、民営化に誘導するもの。いわば、財政難に苦しむ自治体の頰を札束で引っぱたくような嫌らしいやり方であり、世銀やIMFが財政危機の国を救済することを条件に電気・水道・ガスなど公共インフラの民営化を必ず要求している構図と通底している」

 近い将来、巨大資本をバックに「ウォーターバロン」(水男爵)と呼ばれる世界の水メジャーが日本にも押し寄せてくることを危惧する声も上がっている。今回の水道法の改正を巡って、参院厚生労働委員会の参考人質疑にも立った水ジャーナリストの橋本淳司氏が話す。

 「かつて、石油が戦略物資として使われたように、水もすでに外交や経済の切り札になっている。

 対し、世界の水メジャーと呼ばれる仏のヴェオリア社やスエズ社はこの分野で約200年の蓄積があり、資金力も莫大で、これから参入する日本企業は太刀打ちできないでしょう。外国企業に水という生命線を握られるということは、国を占領されるのに等しいと言える」

 今年は西日本豪雨や北海道地震など大規模災害が頻発した年でもあった。災害時にライフラインの要である水道がストップしたら、営利追求の民間業者が全力で復旧に当たってくれるのか? 疑念が拭えない。

取材・文/週刊SPA!編集部

※週刊SPA!12月11日発売号「今週の顔」より

 https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e6%b0%b4%e3%81%8c%e5%a4%96%e5%9b%bd%e8%b3%87%e6%9c%ac%e3%81%ab%e5%a3%b2%e3%82%8a%e9%a3%9b%e3%81%b0%e3%81%95%e3%82%8c%e3%82%8b%e3%80%8c%e6%b0%b4%e9%81%93%e6%b0%91%e5%96%b6%e5%8c%96%e6%b3%95%e3%80%8d%e6%88%90%e7%ab%8b%e3%81%a7%e6%96%99%e9%87%91%e9%ab%98%e9%a8%b0and%e3%82%b5%e3%83%bc%e3%83%93%e3%82%b9%e4%bd%8e%e4%b8%8b%e3%81%af%e5%bf%85%e8%87%b3/ar-BBQM4pe#page=2
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