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2016年07月27日11:44

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南シナ海問題で待ち受ける「対中非難」や「多国間監視枠組み」 中国が恐れる「国連総会」

 下記は、2016.7.27 付の【湯浅博の世界読解】です。

                     記

 中国は9月初旬に杭州で開催予定のG20首脳会議と、中旬の国連総会までは「威嚇」と「融和」を使い分ける独善外交で巻き返しを狙う。中国外務省はASEAN関連の国際会議で、南シナ海をめぐる対中非難を封じ、何事もなかったように杭州でG20を迎えたいと考えるだろう。

 中国外交は軍が南シナ海で人工島を造成し、軍事化を図ったばかりに、そのつじつま合わせに奔走している。ハーグの仲裁裁判所のクロ裁定については、外務省が「無効で拘束力がない」と繕い、国防省は「あらゆる脅威と挑戦に対処」と拒否している。

 中国がこのまま裁定を無視して国際社会を敵に回す決意なら「国際秩序に対する破壊者」として高いコストを払わされることになる。

 王毅外相の悪夢は、9月の杭州G20で構成国からボイコットされ、中国抜きのG19が他国で開催されることである。実際に、ロシアがクリミア半島を併合した一昨年、G8がボイコットされて、ロシア抜きのG7がブリュッセルで開催された事例がある。

 王毅外相は、ハーグのクロ裁定が拡散しないよう、まず提訴国であるフィリピンやベトナムを含むASEAN主導の国際会議で、裁定受け入れで結束されないよう働きかけた。ASEAN外相たちが集うビエンチャンに、日米に先駆けて入るや、各国外相との会談を繰り返した。

 王毅外相は態度こそ大きく見せかけているが、内心はびくびくものだろう。特に親中派のカンボジアを使って、国際社会の対中圧力を必死で打ち消して回る姿は、決して大国のものではない。

 ASEAN共同声明にハーグ裁定が入らなかったからといっても、国際社会は「中国の提案が支持と賛同を得た」(王毅外相)とは考えない。裁定順守を求める岸田外相に「言動を慎むべきだ」との忠告や恫喝(どうかつ)も、中国内向けの身勝手な解釈であった。対日交渉の狙いは、日本がG20を欠席しないよう参加を取り付けることである。

 緩やかなASEANの共同声明は、「重大な懸念」を示しただけで十分だ。先のアジア欧州会議(ASEM)首脳会議の議長声明に続き、中国は南シナ海問題の“封印”に失敗しているとみるべきなのだ。

 中国にはG20に続いて、国連総会本会議という別の外交戦が控えている。日米が対中非難を安保理に持ち込んでも拒否権を行使できるが、本会議になるとそうはいかない。

 実際に、米国のニカラグアへの軍事行動を違法とした国際司法裁の判決で、米国はニカラグアへの賠償の判決を無視した。安保理決議は拒否権で阻止したが、国連総会の決議採択は防げなかった。日本は米豪印に働きかけて総会決議の提出をすべきだろう。

 中国軍が表に出るのは、秋の国際会議が一段落してからである。中国はフィリピンに近いスカボロー礁で新たな人工島を造成し、スプラトリー諸島の人工島には戦闘機を配備し、裁定で否定された「九段線」全域に防空識別圏を設定する可能性が高くなる。

 日米豪印が中国に対するコスト高を狙うなら、南シナ海の不法行為を監視する多国間枠組みをつくることが考えられる。国際社会はソマリア沖に展開する国際合同任務部隊の活動で経験済みである。(東京特派員)

 http://www.sankei.com/world/news/160727/wor1607270006-n1.html

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