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2016年01月26日22:49

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造船事業に泣かされる重工3社 三菱重工は大型客船で1600億円の巨額特損 受注が増えているのになぜ?

 下記は、2016.1.26 付の【経済インサイド】です。三菱重工での2度に亘る火災事故は、放火だった疑いを私は感じております。名古屋工場でのF15のオーバーホール時の事故なども、私は異常さを感じておりましたから・・・・。

                        記

 三菱重工業、川崎重工業、IHIの重工3社が“船”に泣かされている。各社とも航空機事業が好調な一方、大型客船や海底油田で掘削を行うドリルシップ(資源掘削船)を建造する造船事業で特別損失を計上、業績の足を引っ張っている。日本の新造船は排ガス規制の駆け込み需要や円安を追い風に受注が好調なのに、なぜ重工3社は船に苦しめられているのか…

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 長崎湾に面する三菱重工長崎造船所の香焼工場(長崎市)で「洋上のホテル」と呼ばれる豪華客船が建造されている。約12万5000総トン、長さ約300メートル、幅37.6メートル、約3300人乗りで、三菱重工にとって約10年ぶりとなる大型客船の建造にあたる。同社は2011年に米カーニバル傘下の「アイーダ・クルーズ」から2隻を受注した。

 三菱重工の宮永俊一社長は、2隻の豪華客船について「本当にすごい工事だ」と話す。同社はアイーダ・クルーズから度重なる設計や資材変更を求められ、建造に苦労している最中だ。すでに計1645億円の特損を計上しており、客船事業から撤退する可能性も浮上している。

 昨年3月に予定されていた一番船の納入は3度も延期され、宮永社長が長崎造船所に何度も足を運び、工事の進捗状況を自分の目で確認するほど気をつかう。

 その工事の難しさについて宮永社長は「1500も部屋がある点だ」と指摘する。スイートルームが多ければ、カーペットを敷くのも楽だが、1500に上る部屋数に、現場の負担は並大抵ではない。

 また、ITの進化で10年前に建造した大型客船と仕様が全く異なるという。宮永社長は「勉強不足で船のスペックの読み方が不十分だった」と脇の甘さをこう認める。

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 だが、問題は三菱重工の技術が足りないという点だけではなさそうだ。造船業界はほかの業界と異なり、顧客の力が圧倒的に強い。「無理な要求でも応えなければ、こう発注はこないビジネスだ」(造船業界関係者)という。

 このため、顧客と設計や仕様を詰めるコミュニケーション能力が極めて重要という。今回、三菱重工は「背伸びして難しい工事を受注した」との声も業界関係者の間でささやかれている。

 その背景には韓国や中国勢の追い上げがある。付加価値の高い豪華客船の建造にシフトしなければ、客船事業で生き残れないという事情もあった。三菱重工にとって造船事業は「祖業」でもあり、復活を狙った新たなチャレンジだったが、それが今のところ裏目に出てしまった格好だ。

 そして、災難は続き、1月11日、完成間近とみられていた1番船で火災が発生した。三菱重工は4月30日に予定されている引き渡しへの影響はないとしているが、さらに、特損が膨らむ可能性も出ている。

 大型客船の受注額は1000億円程度とみられるが、三菱重工の特損の計上額はこれを大きく上回る。大型客船の市場は成長が期待されているが、桁違いの損失を出すリスクもある。今後について、宮永社長は「2隻の納入が終わってから考える」とし、“撤退”の2文字もよぎる。

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 一方、川崎重工とIHIはブラジルの造船事業で苦しんでいる。ブラジルでは12年に超深海の巨大油田開発が本格化し、国営石油会社ペトロブラスが開発計画を進めていたが、ドリルシップなど海洋構造物を手がける現地の造船会社が足りず、政府が日本に助けを求めてきた。

 川崎重工やIHIをはじめ、三菱重工、今治造船、名村造船所なども現地に進出したが、ペトロブラスを巡る予期せぬ汚職問題が発生。現在は現地の事業が止まっており、各社とも特損の計上を強いられている。

 川崎重工も14日、現地の合弁会社からの資金回収が困難となり、15年10〜12月期連結で221億円の特損を計上すると発表した。16年3月期連結で最終利益が3期連続で過去最高を更新する見通しだったが、達成が難しくなった。担当役員も責任を問われ、降格が決まった。

 同社の造船事業は中国で合弁会社をつくり、現地の需要を取り込み、着実に収益を上げていたが、ブラジル事業に足を引っ張られた格好だ。

 IHIもすでに15年3月期連結決算でブラジルの造船所からの未回収金で290億円の特損を計上している。9月の中間決算でも、シンガポールの会社から受注した海洋の石油生産設備の設計変更などで特損を計上。同社は今年度、初めて中期経営計画の目標を達成する見通しだったが、この損失で頓挫した。

 同社は02年に造船事業を分社化。現在はユニバーサル造船と合併し、「ジャパンマリンユナイテッド」として、造船事業を展開しているが、愛知工場(愛知県知多市)でドリルシップなど海洋構造物を手がけている。

 生き残りを図るため、難易度の高いドリルシップの建造に注力しているが、経験不足がたたり、顧客から図面変更や製造工程の見直しを求められ、9月中間で特損計上に追い込まれた。斎藤保社長は「知見がないにもかかわらず、新分野の扱いとせず、工事を進めたのが要因」と語り、今後は運営体制を厳しくチェックし、再発防止に努める方針だ。

 現在、日本の造船業は円安や排ガス規制の駆け込み需要で新造船の受注は好調で、2〜3年分の受注残を確保している。だが、韓国や中国勢が力をつけており、日本勢が生き残るには技術力を高め、難易度が高い建造にチャレンジするしかない。その中で「経験を積み、大きな損失を出さない運営ができるかが重要だ」(大和証券の田井宏介チーフアナリスト)という。

 三菱重工が手がける大型客船は、世界でも建造できるのは数社。ドリルシップの建造では韓国勢も苦戦しているという。壁を乗り越えれば活路が見いだせるが、リスクも大きい。3社とも経営全体の足を引っ張る造船事業をどう位置付けていくのかが改めて問われている。(黄金崎元)

 http://www.sankei.com/premium/news/160126/prm1601260003-n1.html
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