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2015年09月25日13:31

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首脳会談を開いても何も変わらない米中関係 米国のベテラン研究者が指摘、中国はオバマ政権を見下している

 下記は、2015.9.25付のJBpressに寄稿した、産経新聞ワシントン駐在客員特派員 古森 義久 氏の記事です。

                     記

 中国の習近平国家主席が9月22日から米国を訪問し、25日にオバマ大統領との米中首脳会談に臨む。オバマ政権としては、与党の民主党内も含めて米国内に高まる中国への反発を考慮しながら、一方で米中協調の側面も明示せねばならず、難しい対応を迫られている。

 米国ではこのところ、中国の(1)軍拡および南シナ海や東シナ海での領有権拡張の動き、(2)米国の官民に対するサイバー攻撃、(3)中国国内での人権弾圧――などに対する不満が改めて高まってきた。そんな時期に習主席が来訪することは、ワシントンでも非常に強い関心を集めている。

 対中関係まで失敗させたくないオバマの本音

 まず大統領選挙予備選キャンペーンでは、これを機に共和党候補がこぞってオバマ政権の対中政策が弱腰で融和的に過ぎると非難し、習主席の国賓待遇を見直すべきだという要求まで出した。

 議会では、習氏訪米に合わせて米中関係の現状を探る各種の公聴会が開かれた。特に議会と政府が合同で中国の人権問題などを調査する「中国に関する議会・政府委員会」は、習氏の米国到着に合わせて大規模な公聴会を開催し、中国当局に弾圧される側の代表たちを招いて証言を聞いた。

 民間の大手研究機関でもブルッキングス研究所、ヘリテージ財団、戦略国際問題研究所(CSIS)などが軒並み習主席訪米にタイミングを合わせて討論会や研究会を開催した。

 こうした集いにおける発言や発表は、そのほとんどが中国の最近の軍事的威嚇やサイバー攻撃などの好戦的な行動を非難する内容だった。

 オバマ政権当局者も、こうした国内での対中批判の盛り上がりを意識して、オバマ大統領と習主席との首脳会談では中国のサイバー攻撃を議題に取り上げる方針を明らかにした。「中国のサイバー攻撃は米国官民にとって受け入れがたい行為であり、大統領は米側のその懸念を習主席に直接に伝える」(アーネスト大統領報道官)という。

 すでにオバマ政権は対米サイバー攻撃の首謀者として中国人民解放軍の幹部ら5人を名指しして、起訴までしている。オバマ政権の司法省は、その起訴に合わせて中国側のサイバー攻撃の関連組織に対する経済制裁措置を取る構えも見せた。

 だが、政権全体としては、習氏の来訪前にはその措置を取らないという結論に落ち着いていた。アーネスト大統領報道官も、「両首脳は、米中両国間に存在する協調できる領域についても討議する」と述べている。

 オバマ大統領の外交には、後退や挫折のイメージがついてまわる。残る任期が1年4カ月ほどとなった今、対中関係まで失敗させるのはぜひとも避けたいところである。だからこそオバマ大統領には、中国への非難をきちんと表明しながらも「基本的には中国との互恵の関係を崩したくない」という意図が見てとれる。

 米国の対中政策は再構築されない

 さて、こうした状況の中での習近平主席の訪米は、今後の米中関係にどのような影響をもたらすのだろうか。ワシントンでは多数の専門家や識者がその展望を語っているが、ここでは米中関係のベテラン研究者であるロバート・サター氏の見解を紹介しておこう。

 サター氏は中国研究専門家として米国政府に入り、30年以上も国務省、中央情報局、国家情報会議、議会調査局などの諸機関で、対中政策の形成や分析に関わってきた。現在はジョージワシントン大学教授を務め、政治的には民主党支持であることを明確にしている。

 最近、サター氏は習近平主席の訪米についての見解を小論文として発表した。以下はその骨子である。

・オバマ、習両首脳が今回ワシントンでの会談を実施しても、米中関係が米国にとって大幅に改善される可能性はまずないだろう。オバマ政権の外交姿勢は、中国をはじめアジア各国から弱体と見られ、特に中国はオバマ政権から非難され、要求を突きつけられても、あまり動じないからだ。

・オバマ政権は中国の理不尽な行動に対して、政治、経済、安全保障のいずれの面でも効果的な力の行使を示すことができなくなった。イラクやアフガニスタンからの撤退に加え、中東や欧州東部での後退がその原因だと言えよう。中国指導層はオバマ政権の外交面での衰えをよく知っていて、反発を恐れずに大胆な行動に出ることが多い。

・米国では圧倒的多数の中国専門家たちが、習主席の掲げる「米中新型大国関係」や「中国の平和的発展」というスローガンを信じなくなった。中国は米国に対して響きのよい協調的な言辞を弄しながら、実際には国際的な規範に反して、米国の国益を支える利害関係を侵害する行動をとっている。そんな認識が米側では確立された。

 サター氏は以上のように述べ、米国の対中政策は2016年11月の大統領選挙の結果が判明するまでは再構築されず効果を発揮しないだろうという悲観的な見通しを示した。

 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44840
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