mixiユーザー(id:5455321)

2019年05月13日13:42

282 view

RBG

 米国で「ノトーリアス(悪名高き)RBG」と呼ばれる85歳の女性が人気者だそうだ。
 そのままのタイトル「RBG」という映画を見た。
 RBG=ルース・ベイダー=ギンズバーグは、リベラル派の連邦最高裁判事。
 保守強硬なトランプ政権となり、リベラル勢力のアイコン・アイドルとして、Tシャツ、マグカップ、カレンダーなどのグッズも発売されるほどだ。
 同時公開で「ビリーブ 未来への大逆転」という若いころの彼女を素材にした法廷映画も公開されているが、RBGの方はドキュメンタリー映画。

 ウィキペディアによれば、1933年生まれのユダヤ人で、ハーバード大学ロースクールに進んだとき、500人超の学生のうち女性は9人だった。(私の学部も、630人定員で女性は31人だった)
 RBGは、女性が進むにはよい環境だった、毎日違う男性からデートに誘われたと冗談まじりに語る。在学中にマーティン・ギンズバーグと結婚し長女を出産。在学中優秀だったが、当時は女性弁護士を採用する法律事務所はなかったという。
 大学に教職を得て、男女差別の裁判で次々と勝訴する。米国の1960年代は黒人差別に対する公民権運動の時代、70年代は女性差別に対する公平実現の時代だったようだ。

 映画の中で、RBGが法廷で行った弁論を聞くことができる。彼女の声は、落ち着いた美声で、理路整然としている。米国は、公的資料の保存に対して厳格な国である。翌日には大臣の面会記録を廃棄して平気でいる国にいると、天国に思える。
 1980年、カーター大統領によって巡回控訴審判事に指名され、93年、クリントン大統領によって最高裁判事に指名される。彼女の弁論や最高裁判事承認をめぐる公聴会での発言は、直接、映画で見てほしい。

 RBGは、判事にしては珍しく、講演やインタビューでも積極的に発言する。そこで見せる人柄やユーモアが大きな魅力となっている。超保守派のスカリア判事とはオペラ仲間として友情を築いた。(日本では、裁判例をツイートした裁判官が戒告処分を受けた)
 トランプ政権下で保守派の判事が指名され、RBGの反対意見が重要性を増しているという。憲法問題を扱う米国最高裁におけるリベラルか保守かは、人工中絶を認めるか、同性婚・LGBTの権利を認めるか、死刑制度は廃止するか、銃規制を認めるか、進化論を教えなくてもよいかなどで分かれる。

(毎度、日本の比較で恐縮だが、原則終身制の米国と違い、定年があるため、現在の最高裁判事15名は全員、安倍政権が指名した。裁判官・検事・官僚出身者が保守的なのは変わりがないが、「弁護士枠」も弁護士業務を行ったことがない刑法学者や加計学園の弁護士が就任している。活躍社会のはずの女性は一人もいなくなった。日本の最高裁にRBGが必要と思う。)
 最強と言っても今年86歳。引退はそう遠くない。彼女を讃える伝記映画が製作されたことは、現在の米国の分断と混迷の現れではあるが、存命中にそういう映画を見られる幸福な人は多くない。彼女に道を開いたカーター、クリントン、オバマ大統領、そして何より2010年に亡くなった最愛の夫マーティンの4名の男性が果たした役割も大きい。
「私が男性の皆さんに言いたいことは、私たちを踏み続けている、その足をどけてくださいということです」
14 5

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する