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2021年02月22日22:13

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「生活保護バッシング」批判(25)−改定経緯

白井康彦著「生活保護削減のための物価偽装を糾す」(あけび書房 2014)
ここに書かれた論点が、まさに認定されました。

昨年6月25日の名古屋地方裁判所判決では、
国民感情とか財政上の制約などという、
憲法第25条や生活保護法第1条及び第3条とは関係ない理由で原告敗訴としました。

このうち「財政上の制約」については、
昭和25年に制定された当時の法案起草者である小山進次郎氏が、
その著書「生活保護法の解釈と運用」において、
=====
『健康で文化的な生活水準』として理解されるものの具体的内容は、
決して固定的なものではなく流動的なものであり、
一般的に言えば、絶えず向上しつつあるものである。
====
としている通り、健康で文化的な生活水準は財政上の制約とは別に規定され、
また朝日訴訟の第一審判決も同様の解釈をしています。
同訴訟の最高裁判決は「念のため判決」と言われていますが、
「現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定する等」
の場合に、裁量権の濫用となり違法となる(最高裁昭和42年5月24日判決)
と判断しています。

今回の大阪地裁判決は、この点について、
「統計上の客観的数値や専門的知見と乖離し」違法と認定しています。
その理由として
第一に最後の改定が平成17年であるにもかかわらず、平成20年を基準とした
第二に生活保護世帯が購入しない(できない)テレビやPCの価格の下落を反映した
ことを挙げています。


もとより、国民感情というものは、生活保護基準にとって無縁のものですが、
名古屋地方裁判所判決が指摘した「国民感情」というものも、
改定の前年に片山さつき、世耕弘成、石原伸晃らによって大々的に行われた
「生活保護バッシング」により形成されたものです。

昨年から総理大臣が「生活保護は国民の権利です」と発言し、
厚生労働大臣も「扶養照会は義務ではありません」と発言し、
厚生労働省のサイトにも大きく書かれました。
今回の判決で裁判所が
 「この基準では健康で文化的な最低限度の生活水準とはいえない」
と判断しました。
この判決は2013年10月以降の保護基準に対するものですが、
安倍政権は、この基準改定に対する法律判断を待たずに、
その後2018年10月から、さらに最大5%の減額をしています。
当然、2018年10月以降の基準も「違法」ということになるでしょう。

判決要旨
http://665257b062be733.lolipop.jp/R3_2_22osakachisaihanketuyoushi.pdf


■生活保護費の減額決定、取り消す判決 大阪地裁
(朝日新聞デジタル - 02月22日 15:44)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6421675
元記事→https://www.asahi.com/articles/ASP2Q52C0P2KPTIL02H.html

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