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2020年07月02日20:23

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要約・ラーマクリシュナの生涯(34)「ナレンドラが師から受けた薫陶」(3)


◎出家の決意


 夏が過ぎ、インドの雨季が訪れても、ナレンドラは相変わらず仕事を探していた。
 ある夜、帰宅途中のナレンドラは、雨でずぶぬれだった。一日中何も食べておらず、体も心もつかれきっていた。
 とうとう一歩も動けなくなり、見知らぬ家のベランダに横になると、そのまま意識を失った。
 ナレンドラの心の中を、様々な思いと影像がよぎっていった。そして突然、神の力によってナレンドラの意識が引き上げられ、それまで抱いていた神への疑念の一切が取り除かれたのだった。
 ナレンドラは歓喜に包まれて立ち上がり、家へと向かった。あれほどあった疲労感はすべて消えうせ、心は無限の平安と力に満たされていた。ちょうど、夜が明けようとしていたころだった。

 この経験によってナレンドラは、世間の賞賛にも非難にも、自分の苦しみも喜びにも、全く無頓着になったのだった。金を稼いだり、世俗の楽しみを求めるために自分が生まれた来たのではないという事を、ハッキリと自覚するようになった。そして、彼の祖父と同じように、世を捨てて出家修行者になろうと秘かに心に決めたのだった。

 ナレンドラが、自分が出家する日を秘かに決めたとき、ちょうどその日に、ラーマクリシュナがカルカッタの信者の家にやってくることを知った。ナレンドラは、これは非常な幸運だと思った。世を永久に離れる前に、グルにお目にかかり、祝福を受けるべきだと思ったのだ。
 しかしラーマクリシュナはナレンドラに会うと、ドッキネッショルに来るようにしつこくせがんだ。ナレンドラはあれこれ言い訳をして断ったが、ラーマクリシュナは聞き入れなかった。仕方なくナレンドラはラーマクリシュナと一緒に馬車に乗ってドッキネッショルへと向かったが、その間、ほとんど会話は交わさなかった。
 ドッキネッショルにつくと、ナレンドラは他の信者と一緒に、ラーマクリシュナの部屋に座った。しばらくするとラーマクリシュナは法悦状態になり、ナレンドラに近づくと、手をとって、涙を流しながら歌いだした。

語るのが怖い。
語らないのが怖い。
あなたを失うことが怖くて。

 ナレンドラは必死で自分の感情を抑えていたが、もはやそれは抑え切れなかった。ナレンドラもラーマクリシュナも、涙でびしょぬれになった。
 誰にも言わなかったナレンドラの思いを、ラーマクリシュナはすべてご存知だった。

 その様子を見て他の人々は驚いた。ラーマクリシュナが通常の意識状態に戻ったとき、ある信者が、一体何があったのかとたずねたが、ラーマクリシュナはこう言った。

「気にしないでいい。これは私たち二人の間だけのことで、他の者には関係のないことなのだよ。」

 その夜、ラーマクリシュナは他の信者たちを帰らせ、ナレーンドラと二人きりになると、感動に声を詰まらせつつ、ナレーンドラに言った。

「お前が母の仕事をしにこの世に来たのは知っている。お前には決して世俗の生活を送ることなどはできないのだ。
 しかしお願いだ。私が生きている間は、家にとどまっておくれ。」

 こう言うと、ラーマクリシュナは再び涙を流したのだった。




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コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2020年07月02日 23:21
    (;_;)

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