パドマサンバヴァの秘密の教え２（７５）

　サマーディを道として利用するために。
　歓喜、輝き、無思考という良いサマーディがある。
　慈愛、哀れみ、または放棄、または強く明確な献身など、これらのような思いを持つことは、精神的エクスタシーの確実な経験を伴う。これらの経験の源はプラーナであり、それは『言葉（エネルギー）の世界』を通して移動する。
　自我執着の犠牲となるという危険があるので、キーポイントをもってそれらを包むことが大切である。それらが一時的な経験であると理解する態度をもって、それぞれの本質を見つめさい。経験を固定することなく、その連続の中に残りなさい。
　そのとき、これらの経験は非二元的な覚醒の本質として見え出すだろう。一時的な経験に執着したり育成したりせずに、その連続を支えなさい。

　あなたが何らかの高揚感を感じたとしても、それは突然に消えるだろう。例えばあなたが自分の中にこみ上げてきた強い慈悲のため涙がこみ上げるなら、見解のキーポイントは、覚醒した意識を保つことであると理解しなさい。一時的な精神的フィーリングの経験に満足するのではなく、連続性の中で維持しなさい。

　それらの精神的フィーリングの経験は、霊などの魔法的な現われであるかもしれない。あなたが魔法的な精神を育むことに溺れないように、有害な経験をサマーディための補助と見間違えないように、わたしはあなたに真髄の指示を与えよう。

　病気、痛み、心臓の痛み、または強い疲労など、どんなことが起ころうとも、それは一時的な経験であると理解しなさい。落胆したり、またはそれを不運と見なさないようにしなさい。その知覚された対象や知覚する心を自然に生起させ、自由にしなさい。それらを過ちや美徳と見なしてはいけない。それ自身で自由にさせなさい。

　今からわたしは、これらの経験を強化する方法を説明しよう。この教えは、補助と障害を超えた教えである。
　すべての土台の中では、輪廻とニルヴァーナの現象は、種子のかたちで存在している。ヴァジュラの身体の中に、それらはナーディの中の種字や、プラーナ・心として残っている。
　あなたがサマーディのキーポイントを適用し、本当の状態と修習の素顔を認めるならば、ナーディの結び目は解かれ、プラーナ・心は取り払われ、習慣的な傾向は浄化され、そしてあなたは原初の本質的な悟りを得る。このように、輪廻とニルヴァーナの様々な経験が生じる。

　もしプラーナが入り口を見つけると、プラーナはそこに入るだろう。
　もしあなたが概念を形成すれば、マーラが顕現するだろう。
　あなたが冷淡に経験を捨てると、それらは道の一部にならないだろう。
　これらのすべての出来事が、一時的な経験であることを理解しなさい。

　どんなものも過ちと見なしてはいけない。
　どんなものも美徳と見なしてはいけない。　
　希望、恐れ、疑念から自由になり、一時的な経験を自然に生じさせ、自然に自由にさせることについて修行しなさい。
　このようにして、すべての経験は向上につながる。

　ときどき独居で修行するときは、心は柔軟になり、霊的修習における進歩があり、そして瞑想者は心からわき上がる歌などを歌う。
　しかし日常においては心は飼いならし不能であり、霊的な修習は弱くなり、注意は散漫となり、そして瞑想者は自分は進歩がなく惨めであると感じる。
　輪廻とニルヴァーナを切り離すとき、高低のさまざまな経験が起こる。そこで落胆や慢心を生じさせるよりもむしろ、物事が固着なしに自然に起こるキーポイントを保ちなさい。このようにすればあなたは、それらを道に持ってくることができる。

　たゆまず、そして注意散漫でさまよわずに、独居修行を実行しなさい。そのとき、あなたのすべての能力が向上するだろう。」