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2019年11月18日15:33

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映画「国家が破産する日」

民主化から10年の1997年秋、韓国はOECDに加盟、先進国の道をひた走っている、と国民はだれもが信じていた。
しかし、韓国銀行の通貨政策チーム長ハン・シヒョン(キム・ヘス)は通貨危機を予測。
政府は国家不渡りの事態を防ぐ非公開の対策チームを招集するが、国家破産まで残された時間はわずか7日間しか残されていなかった。

金融会社勤務のユン・ジョンハク(ユ・アイン)は、リクルーターとして内定した新卒学生に対応していた。内定者たちは会社の好待遇に浮かれ気味。
しかし彼は独自の分析から危機の兆候を知る。逆にこれを好機と、ジョンハクは会社を辞め、投資家を集めてひと儲けを画策。

しかし多くの国民はそんな経済状況をよく知らない。
ちいさな町工場の経営者ガプス(ホ・ジュノ)は、大手百貨店からの大量発注を手形決済という条件で受けてしまう。

経済的な混乱はあっというまに韓国中に広がっていく。
韓国ウォンは半月でどんどん暴落。
このままだと韓国という国自体が破産するー。
ガプスも手形が不渡りとなり、経営も借金の返済もどうしようもならなくなっていた。

そんな中、極秘に来韓したIMF(国際通貨基金)総裁(ヴァンサン・カッセル)。
しかし、彼が提示した、韓国への融資条件は、外資を入れ、雇用の不安定を招くものだった。
シヒョンには到底受け入れがたい。そして彼女は、IMFのバックに、経済的に韓国に影響を及ぼしたいアメリカの思惑があるのではないかと疑うのだが・・


まだ記憶に新しい1997年のアジア通貨危機。
あのあと、韓国では自殺者が急増したという。
IMFの管理下に入った日は「国恥日」として韓国国民に刻まれたと聞く。
そんな生々しく、まさに国が破産する瀬戸際まで追い込まれた「国の恥」をネタにして、映画を作っちゃうという韓国の映画人のしたたかさにも感心してしまう。

国家破産を食い止めようと奔走する、キャリアウーマンのシヒョンがなんともけなげだ。石田ゆり子にちょっと似ている。
それにしてもIMF総裁にフランスの有名俳優・ヴァンサン・カッセルを持ってくるなんて、「オペレーション・クロマイト」のマッカーサー役のリーアム・ニーソンといい、韓国映画、攻めてるなあ、という感じである。

しかし、あの当時の日本経済も危機状態だった。
1997年秋には山一證券、北海道拓殖銀行が潰れ、翌年には長銀、日債銀も破綻。
わたしが勤務していた会社でもリストラが行われ、世界史の教科書でしか見たことのない「恐慌」という文字が、現実感を伴って身近に迫ってくるのを感じていた。
ちょうどこのころからしばらく、学生たちは「就職氷河期」に直面することになり、現在もなお、多くの人が不安定雇用で苦悩する社会問題となっている。

そういう意味では「よその国の話」として見てはいられない映画かもしれない。
ほかに、先般見た「8番目の男」同様、クォン・ヘヒョ、キム・ホンパ(経済首席)が出演。
(11月11日、シネマート心斎橋)
8 10

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