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2018年12月27日10:42

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とある居酒屋のはなし・8

クリスマスも終わり、もう世の中のムードもすっかり「年の瀬」だ。
今年の僕の忘年会も今日で全て終了。
あとは、正月に向けて全力で仕事をしているふりをするだけだ。

しかし今日の忘年会はよく飲んだ。
ちょっとシメが食べたくなる。
寒いしね、あったかいものが食べたくなるよね。

じゃあ、すずめ姐さんの店に行ってみますかね。

すずめ姐さんの店に入ると、カレーの匂いがした。
「あれ?紫。今日は忘年会だったんじゃ無かったっけ?」
そう言って氷がギッシリ詰め込まれたタンブラーの酎ハイを飲む姐さん。
「もう飲み疲れて帰って来ちゃったよ、腹も減ったし。」
「そんなことだろうと思ってさ、今日はカレーうどんをメニューに入れてたんだけどね。」
「良いねぇ、かれーうどん!」
「ところが、うどんが終わっちゃったのよ。あーたさ、ちょっと買ってきて、冷凍讃岐うどん。そこのコンビニで。」
「ヤだよ。」
「うどん食べたくないん?美味しいよー、うどん。」
姐さん、徹底的に人を使う気である。
「そこはほら、姐さんのマジックでどうにかならないの?」
「だからそのマジックを今使おうとしてるんじゃん。あなたはうどんを買いに行きたくなーる行きたくなーる。行け、式神!」
姐さんは、最近ビデオで陰陽師を見て以来、ちょっと式神にはまっている。

「んー、しょうが無いな。んじゃ、うどん抜きだからね。」

そう言うと、姐さんは何か作り始めた。
お?こういう時の姐さんの手際は流石である。
程なくして、カレーの匂いのする丼物が出て来た。
「はい、カレーうどん・米入りうどん抜き。」
ほう、うどんの代わりに米が入っている。
「いつだったかさ、カレーうどんの美味い店って言うから行ったんだけどさ、うどんが不味くてさ。カレー汁の出来はかんぺきなんだけどさ。で、ライス入れたらこれが美味かったんだよねー。うどん要らねーじゃん、みたいな。」
食べた感じは、カレーおじやって感じだろうか。
でも、カレーライスと違ってスムーズに口に流れ込んでくる感じがある。
「辛めのカレースープ作って、ちょっとチーズ掛けてみたんだけど、コクもあって美味しいよね。」
なるほど、これは面白い。
うどんの出汁も利いているので、スープカレーともまた違った感じである。

「これ、米がいくらでも入ってくるね、良いね。」
「そんなに米食おうとしてんじゃねぇ、このデブ。」
「カツとか乗せても美味しいかもね。」
「単品で食べて美味しいものを同時に食おうとするな、このデブ。カワシマに怒られるぞ。」
因みにカワシマさんとは、この先にあるレストランのマスターである。

「姐さん、これ本気で美味いわー。」
「2分で作った割には美味しいよね。」
そう言って、また酎ハイを飲み始める。
「これレギュラーで出せば良いのに。」
「ヤだよ。うどんの方が儲かるじゃん。」
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