mixiユーザー(id:5343821)

2021年05月24日02:01

522 view

ラトルのベルリンフィルデビュー(1)

しばらくの間、目の病態が緊急事態で、生と死のハザマといえるような音楽や演奏を求めることとなった。
そういう場合には、バーンスタインとか、意外とアバド、世代ではないがフルトヴェングラーといった指揮者がふさわしい。シリアスなのだ。おそらくこれは、戦争体験が関係していると思う。
ただ、年中そういう音楽がよいかというと、いろいろな場面がある。
どちらかといえば、こんな音楽は、特殊な状況にシリアスな性格の人が好むだけなのかもしれない。

いまは、眼圧もかすみも、停滞状態で先行きも不透明であり、あまり心楽しくはないが、緊急事態は脱して、バーンスタインのマーラーを聴こうとかいう気分でもなくなった。アバドやカラヤンもなにか違う。
気持ちがきつすぎた反動かもしれない。

で、なぜか急浮上したのが若きラトル。
戦後世代で、頭脳明晰で軽やか。精神のどす黒い深さや神秘性でなく、音響構造のおもしろさをあきらかにする。
バーミンガム響時代のシベリウス全集が2000円ぐらいだったので買ってあったが、これは明るい響きでいきいきしている。
諸井誠が、シベリウスの7番をめぐって、ベストレコードを模索する中で、このラトルのを高く評価していた。まだまだメジャーになる前だが、楽譜がわかる人には、ラトルの分析力はそうとう面白いらしい。ラトルが将来ウィーンフィルやベルリンフィルを振って、録音も理想的になればベストレコードになるという予言にも思える論調だった。
これは、ベルリンフィルレコーディングスのハイレゾで実現したと言えるのだが、私にとってはバーミンガム響のほうがいまはおもしろい。録音はEMIでよくないが。

急に気になって、調べて買ったのが、ラトルのベルリンフィルデビューCDだ。
これは、カラヤン時代の1987年のもので、マーラーの6番。
これは伝説的なライブということで、ベルリンフィルの記念企画で出たもの。最近再発されたおかげで、中古で送料込み640円で入手。

32歳のラトルが、まだカルロス・クライバーも振っていなかった頃のベルリンフィルに乗り込んで、何をしでかしたのか?
レコーディング・コンサートは、タイムマシンのようで、ほんとうに素晴らしい。

続く
8 11

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する