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2021年02月08日14:50

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さよなら憧れのホーンツィーター

FOSTEXのホーンツィーターT90A-EXを正月にオークションに出した。
その週に落札されると梱包が遅れそうなので、高めに設定したのだが、それをはるかに上回る69500円で落札された。
15年前に発売直後に、税抜き68000円で購入し、15年間ほぼ毎日使ってこれである。
FOSTEX限定の魔力は、いまだに一部健在ということか。
他に出品する海外のかなりよいユニットは、値下げしてもさっぱり売れないのだが・・・

確かに、造りは、いろいろツィーターを入手してみるが、ダントツにお金がかかっている。
分厚いアルニコマグネット、削り出し真鍮ホーン、純マグネシウム振動板・・・

もともとホーンツィーターに憧れたのは、長岡先生の方舟を模してオーディオルームを建造した方のところに行ったら、朗々と鳴りわたっていたとき。ロックが攻める攻める。
あと、確かYAMAHAの有名なホーンを聴かせてもらったことがあって、そのとき持参した小田和正の「Looking Back2」がキラキラと鳴りわたって惚れた。
その秋にT90A-EXが発売されてとびついた。
その2つの魔力は出ないのだが、イメージよりソフトな柔軟性も感じて、ある程度満足した。

ただし、使っていた15年間が、後半は測定器などでかなり改善したが、今思えば無知でむちゃくちゃやってた時期なので、バランス的には入れないほうがいいぐらいのこともよくやってたと思う。
また、フルレンジにコイルを入れるとかいう発想もなかったので、ユニットによっては喧嘩しまくりだった。

ようやく使いこなせるかというタイミングでお別れとなった。

記念に、0.22μのコンデンサーでしばらく使ってみた。
おお、しばらくぶりだと、個性がよくわかる。
美点は、音が艶やかで美しく高級感がある。ハイスピードで命がけといった表現力がある。なにせ金管が最高。原理的に当然。打楽器もよいし、ポップ系を元気に聴くにもよい。
ゲルギエフの春の祭典とか、ショルティのマーラー6番はキャラ的に最高。ゲルギエフは菅野沖彦氏の推奨だが、これを聴くと、長岡サウンドというより菅野サウンドとも思えてくる。ただの金持ちの紳士と誤解していた。
よくないところは、レーザービームのようにリスニングポイントを突き刺してくるような感じ。要は指向性の問題。これは、距離を十分取れる環境ならよいのだろが。
あとは音色面が、ボーカルも金属の声になるなど。弦もやや苦しい相性。

総じて、思ってたよりはかなりよかった。もう飽きたというところもあるので、高値で売れたし悔いはないが、モノとしての魅力は素晴らしく、新たに買ったものたちがグレードアップになっているわけではない。それよりは、視聴距離の問題のほうが大きい。メガネの度数みたいなもの。

あとは、音のたたずまいに、長岡先生の影を感じずにはいられなかった。ああ、こういう方向性が長岡サウンドかと。
いまさらなんだといわれそうだが、私は実際にはいろんな音の選択肢の中から長岡サウンドを選んだわけではなく、苦しい時に胸に響く文章が長岡先生のものだったので、ただ憧れて使ってみていた。要は、客観的に音を考えられていなかった。

そして今、かんじることは、こんなにエネルギー量や情報量の多い音は受け止めるのが大変だなあということ。
若い時はよかっただろうが、いまは、疲れるなという感じがする。
長岡先生自身が、死の少し前には「ほんとはこんな音疲れて好きじゃないんだよ」と、編集者等に言っていたという。その感じもわかった。

最後に「LookingBack2」をかける。特に「愛の中へ」と「さよなら」の冒頭。やはり独特にキラキラと鳴りわたって、その他の音の部分からは、当時からの自身のオーディオスキルの向上もわかる。
憧れて手に入れて夢中で使って、もともと環境が向いてなかったし、使いこなしにも手こずったが、幸せだった。
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