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2016年08月16日08:10

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プチ贅沢2 リマスターCD バイロイトの第九

買わなくてもなんとかなるが、買うと落ち着くのがほんとの贅沢品だろう。

リマスターへのこだわりなどは、まさにそういうもの。

昔は、好きなアルバムのリマスター盤を買って、改悪していると怒り心頭であった。
文化財破壊だと、ホームページを立ち上げようかと思ったほどだが、選択肢がかなり広がってきたのでまあよいかという心境になった。

フルトヴェングラーの「バイロイト第九」。
宇野氏はじめ、レコ芸の第九投票では大差で1位になる。
そんなに普遍的な盤だろうか。
若いころに手に入ったのは、疑似ステレオのリマスターCD。霞を聴くような不可思議な音の世界であった。
疑似ステレオがいかんのかと、アビーロードでやったという「artリマスター」購入。これはこじんまりして音が死んでいる。
これらのディスクで、深遠な顔をして何かを語ってみせることは、私にはできなかった。

ベートーヴェンは、特にピアノ協奏曲や後期ピアノソナタなどが凄いと思うが、第九は特殊な曲で、ジャンルが違うとすら思う。
紅白というとSMAPがかつぎだされるみたいなもので、人類の平和とかいうと第九になる。
ほんとは、SMAPも日常のしょうもなさのなかに真価があるし、ベートーヴェンも内面的な苦闘と意志に感嘆させられる。
晴れがましい場で見かけると居心地が悪い。

とはいえ、やはり天才や独創性にあふれた恐ろしいスケールの曲だと思う。
指揮者は、自分の器を試されるかもしれない。
これはスター指揮者とビッグオケがよさそうだ。
録音も色彩的であるにこしたことはない。

バーンスタインとウィーンフィル4楽章をハイレゾで久々に聴いたが、かなりロマンティックで陶酔的。冬に音量を気にせずに聴きたい。
ラトルとベルリンフィルの野外コンサート。申し分ない輝かしいサウンドと、古楽器指向の時代も通過した見通しの良さ。しかし、頭良すぎてテレがある。テレる曲ではないはず。
カラヤンとベルリンフィルは向いていそうだが、カラヤンのベートーヴェンは、何かサウンドが気取った感じで違和感あり。とはいえ、収録前提でないライブとか、どこかによいものがありそう。
アバドも向いていそうだが、録音が少し変わっていて決定版という印象ではない。晩年の小編成古楽スタイルも、普遍的とは思えない。
真っ向勝負で構築したのがショルティとシカゴの86年デッカ盤。ショルティのボスとしての器の大きさが出て、録音も最高。ただ、アメリカなのが気に入らない人もいるだろう。
番外編としては、昨年末のヤルヴィとN響はホームランでビックリ。指揮が斬新で格下のオケが必死でついていく。懸命にやるべき曲なのだ。

曲が普遍的過ぎて、演奏家の個性イコール、スケールの限界に感じてしまう。
どうせなら、個性とスケール極大、フルトヴェングラーの伝説の場面に頼ってしまう。しかし音が悪くてよくわからん・・・

フルトヴェングラーはこんなもんじゃないと、CDの音の悪さを書いてたのが宇野氏だ。
その後、著作権が切れる2000年あたりから、LP起こしの一大ブームが巻き起こる。私も参加して、フルトヴェングラーはあまりよくわからないままに、バイロイト第九は10種類以上聴いた。

そのときは、EMIのSACD公式盤が結局はよいかなというオチ。
宇野氏推奨のMYTHOSのLP起こしも、鮮明だが4楽章はうるさい。加工っぽい。
評判のよいデルタ盤は、スクラッチノイズを取って、私には違和感がある。
とはいえ、この3つぐらいを聴く中で、演奏がわかったかなと思えるときが何度かあった。

ネット上でもブームは終わったのだが、その後、ぜんぜん意見が変わった。
知り合いが教えてくれたオタケンのTKC-309、初期にコピーされた別マスターからのCD化といううさんくさいもので、実際は初期CDデジタルマスターのコピーDAT流出かも。
しかし、これが音が良い。較べると、EMIのSACDは漂白感がある。

結局、昔のマスターに近いものを、できるだけ加工少なく出せばよいのでは。
LP起こしもだいぶ癖がつく。

この理屈にあうものが、昨年出て気になっていた。
グランドスラムの、オープンリールからの復刻。できるだけ無編集をうたっている。
贅沢だが、このたび買ってみた。

さいわいにも、これはアタリのようだ。
ヘッドフォンできくかぎり、TKC309の記憶にある、心なしか初期デジタルの味気無さみたいなものがなくアナログ的で、情報が多く濃い感じがする。
加工を少なくということだが、特にノイズが多くなった印象もない。
EMIが普通にマスターテープを忠実にディスク化してくれたら、こんなに大騒ぎしなくて済んだようにも思うのだが・・・

落ちついて演奏を聴いてみよう。
平林氏のオープンリール復刻シリーズというのは、どういうルートか知らないが、貴重な感じがする。かつてのLP起こしとは違っている。
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