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2015年05月05日14:06

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バイロイトの第九 録音再考

なんどか話題にしているが、歴史的録音としてクラシック界の頂点に位置する、はずのフルトヴェングラー・ベートーヴェン第九だが、LP起こし盤やらリマスター盤、さらにはリハーサル録音かもとかいう別録音まであらわれ、何を聴けばいいかわからない。

私もファンの情熱に影響され、全部で20種類近く聴いているような気がする。

何年か前に、結局EMIの最新SACDがベスト、というのでmixiに書いたことがある。
ただ、満足しているわけでもなかった。

その後、オタケンのTKC309というものと、フルヴェングラーセンターからの同日別音源というものを入手し、素直なよい音だったので、いつか本格的にききくらべをと思っていた。
が、ちょうどシステムがスピーカーもヘッドフォンも大変革期、SACDとCDが同条件でかからないとか、CDが読み込まないものがあるとか、ややこしい時期が続いた。

ヘッドフォンは落ち着いたので、GWを利用して、簡易的にききくらべてみた。

オタケンのものは、「予備マスターのデジタルコピー」を使っているという。
出所は不明。EMIからの流出だと思う。どこかの段階でCD製作に携わった人が、個人的にDATに移しておいたものとかかもしれない。
それより重要なのは、オタケンは「無修整」を基本のウリにしているということ。こっちのほうがずっと差がつく。

で、EMIのSACDと入れ替えて何度か聴いてみたが、オタケンの方があきらかにクリアだ。EMIのは漂白感とかこもった感じとかボケた感じとか、なにかの色とともに聴くことになる。フヤけている。
ミソスのLP起こしをかけてみると、すごい迫力で、ベートーヴェンの全人類的な格闘を表現するのはこちらがよいかとも思えてくる。
が、コンサートホールでこんなふうにヴァイオリンの音が切り込んでくることはありえない。疲れる音だが、たまにこっちで聴いてもいいかなと。

というわけで、いままで聴いた中ではオタケンがいちばんふつうに聴ける音のように感じた。
音や芸術は主観だが、客観的に語るべきレベルもある。
そこは難しい問題ではあるのだが、もとの演奏があって、マイクがあって、記録されたものがあり、あとは劣化と加工の量になる。
それが客観的に一番少ないのがオタケンのテープ起こしに思えた。

しかしこれでも、予備マスターからのデジタルコピーのCD化である。
EMIが普通にリリースするか、最高のLPをニュートラルにデジタル化すれば、超えられる気もする。
私個人としては、そこまでの思い入れはないため、いずれ、オタケンリッピングでHDDからスピーカーで聴くのを楽しみにしておこう。
音質が気になって、通して真剣に聴けたことがほとんどないのだ。

別音源のセンター盤というのも、オルフェオと違って加工のほとんどない音で、また真剣に聴けそうだ。ただ、これはAM放送レベルという指摘が如月さんより出ていて、確かにEMI盤の「レコードだぞ」というような音の厚みがない感じがする。
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