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2020年07月06日08:30

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仏教24〜儀礼、戒名、仏像、象徴

●儀礼

 仏教の儀礼の代表的なものに、読経と念仏がある。
 読経は、経典を読誦することである。本来は、その経典の内容を学んで、修行や信仰に生かすべき書物だが、しばしば経典そのものに呪力があるとみなされ、一種の呪文のように唱えられている。
 念仏には、三種類ある。(1)法身の念仏:理法としての仏を念じること。(2)観想の念仏:仏の相好や功徳を心に思い浮べること。観念の念仏または単に観念ともいう。(3)称名の念仏:仏・如来の名や経典の題目を唱えること。口称念仏(くしょうねんぶつ)・称号念仏ともいう。
これらのうち、(1)(2)は修行における瞑想の方法であり、(3)は信仰における祈りの方法である。

#南無
 祈りの際に、南無という言葉がよくつかわれる。南無は、サンスクリット語のナマッハまたはナモーを音写した漢語である。原語は「敬礼」を意味し、そこから「帰依」「帰命」を意味する。
 阿弥陀信仰では、「南無阿弥陀仏」と唱える。南無阿弥陀仏は「阿弥陀仏に帰依します」を意味する。法華経信仰では、「南無妙法蓮華経」と唱える。「『法華経』の教えをひたすら信じます」を意味する。禅宗では、「南無釈迦牟尼仏」と唱える。釈迦牟尼仏が本尊だからである。真言宗では、「南無大師遍照金剛」と唱える。遍照金剛は、弘法大師空海を指す。

#数珠
 儀礼では、しばしば数珠が用いられる。これは、ヒンドゥー教で念珠を用いる習慣が仏教に採り入れられたものである。数珠の形態は、宗派によって異なる。

●戒名

 出家して僧尼になると、師から戒を授けられる。これとともに、シナや日本では、師から新たな名前を与えられる慣習ができた。この師から授かる名前を、戒名という。俗名を捨てて、戒名を使うことで、出家者として自覚を持って修行に励むものである。
 日本では、死者に対して戒名をつける。これは、死者は仏陀の弟子になったと考え、新たな名前を与えるものである。

●仏像

 仏教では、偶像崇拝は禁止されていない。2世紀前半、インドのクシャーナ朝では、陸路でローマ帝国との交易が盛んに行われた。そのため、ギリシャ=ローマ文明のヘレニズムの影響によって、ガンダーラで多くの仏像彫刻が造られた。また、ヒンドゥー教の影響で、仏教でもヒンドゥーの神像に当たる仏像がつくられた。如来像、菩薩像、明王像、諸天像等の様々な仏像がある。
 セム系唯一神教すなわちユダヤ教、キリスト教、イスラーム教では、神を像や絵に造形することを禁じる。また、唯一神以外の信仰対象を認めず、偶像崇拝を禁止する。神の造形や偶像崇拝は、唯一神への信仰を揺るがすものとされる。
 仏教は、唯一神を信仰する教えではなく、釈迦を模範としてブッダになることを目指す教えである。釈迦を造形することは、目指すべき姿を具体化し、信仰を高める。また、様々な如来、菩薩、明王等が造形され、信仰対象を具体化し、信仰を強めている。
わが国の奈良の東大寺の大仏は毘盧遮那仏、鎌倉の長谷寺の大仏は阿弥陀仏を表したものである。

●象徴

 仏教では、卍(まんじ、スヴァスティカー)が瑞兆の印として用いられている。これは、ヒンドゥー教で使われているものを取り入れたものである。
 インドでは、古くから逆まんじ(右まんじ)も使われている。古代遺跡の発掘を行ったシュリーマンは、インド・ヨーロッパ語族と逆まんじ(卐)の関係を示した。ナチスは、逆まんじの変形をハーケンクロイツ(鉤十字)と呼び、アーリヤ民族の優秀性を強調する象徴として使った。これらと仏教との関係はない。
 吉祥を現すものとして種々の花が用いられる。蓮華はその代表である。『法華経』の名は、蓮華にちなむ。
 密教では、大日如来を中心・根本とする諸仏諸尊を図示したものをマンダラといい、瞑想に用いる。漢語では、曼荼羅と書く。
 密教では、サンスクリット語の第一字母の阿(ア、a)を宇宙の本体・現象・人生のすべてを象徴するものとして瞑想に用いる。

 次回に続く。

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