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2020年04月01日10:09

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武漢ウイルス問題対策で財政・金融一体化と消費税大型減税を〜田村秀男氏

 反骨のエコノミスト、田村秀男氏は、産経新聞令和2年3月22日付に、武漢ウイルス問題の経済政策として、「安倍晋三政権は早急に財政と金融の両輪のフル稼働を決断し、消費税の大型減税によって内需を支えると同時に、国債を増発して日銀に本格的な量的拡大再開の道を切り開くべきだ」と提案した。私は、この提案に賛同する。
 まず財政と金融の両輪をフル稼働する必要がある。内閣官房参与の浜田宏一エール大学名誉教授)は、「財政収支の均衡」を最優先する財務省について、「今のような危機の局面では、財政支出拡大が現代経済学の国際常識。大災厄の中で財政均衡を優先する考え方はとんでもない誤りだ」と断じている。田村氏は「国債増発と量的緩和という財政、金融の一体化こそが新型コロナ・ショック対策の決定打」と書いているが、金融政策だけでなく、財政政策を同時に行うことが、今こそ求められている。
 次に消費税大型減税については、田村氏はもともと消費増税反対が持論だった。今回の武漢コロナウイルス問題が日本経済に重大な影響を及ぼし始めると、消費税率を5%以下に戻せといち早く提案した。この提案に対し、浜田教授は「2年程度」という期間限定で賛同を表明しており、時限的な措置ではあるが、その有効性を認めている。、田村氏は、消費税大型減税について、「日本経済を再生軌道に乗せるために欠かせない」方策とし、「日銀の量的拡大再開を可能にし、円高を抑止できる」効果と「内需の下支え効果」があると書いている。焼け石に水にしかならない額の現金給付より、大きな効果があると思う。
 以下は、田村氏の記事の全文。 

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●産経新聞 令和2年3月22日

https://www.sankei.com/premium/news/200322/prm2003220005-n1.html
【田村秀男の日曜経済講座】やはり消費税大型減税しかない 財政、金融に両輪をフル稼働させよ
2020.3.22 08:00|プレミアム

 中国発の新型コロナウイルス・ショックは2008年9月のリーマン・ショックをしのぐ衝撃を世界の金融市場に与えてやまない。米国の連邦準備制度理事会(FRB)はゼロ金利と量的緩和政策を復活させ、トランプ政権は大型減税など総額1兆ドル(約107兆円)規模の景気対策を打ち出した。
 対照的に日本の対応は小出しで、しかも新型コロナ・ショックの速度に追いつけない。日銀の追加策は株買い入れが中心で金融の量的拡大は小幅だ。安倍晋三政権は早急に財政と金融の両輪のフル稼働を決断し、消費税の大型減税によって内需を支えると同時に、国債を増発して日銀に本格的な量的拡大再開の道を切り開くべきだ。
 「金融市場の不安定さをしずめる」−−。日銀の黒田東彦総裁は16日に金融緩和を追加したが、主な柱は株価対策である。上場投資信託(ETF)の新規買い入れ年間枠を従来の6兆円から12兆円に増やした。日銀のETF保有残高はこの2月末現在28・8兆円で、国内上場株式時価総額の4・9%に達している。株式市場に日銀が発行する巨額資金が投入されると株価は上がるのだろうが、麻薬のようなもので、追加投入を繰り返さないと効き目はなくなる。
 懸念されるのは、超円高の再来だ。新型コロナ・ショックの波及の当初、円高に振れた相場はこのところ落ち着いているが、日米の金利差縮小などからみて、投機資金が再び円買いに殺到しないとはかぎらない。余剰資金があふれる国際金融市場ではドル以上の安全資産とみなされている円買いが加速しやすくなる。リーマン時では日銀が動かず、円の対ドル相場が70〜80%も上昇し、日本経済は震源地の米国や欧州をはるかに上回る打撃を受けた。
 今回も、日銀は中小金融機関を窮地に追い込むマイナス金利を深堀りできない。「金融の量的拡大によって円高を防げる」(内閣官房参与の浜田宏一エール大学名誉教授)のだが、それには市場からの国債買い上げを増やす必要がある。
 ところが日銀は年間80兆円の枠に対し、20兆円程度しか購入していない政策を据え置いた。黒田総裁は「いくらでも国債購入を増やすこともできる」と強気だが、実のところ、限界に突き当たっている。市場で買える国債が大幅に減っているのだ。
 グラフは日銀による国債買い入れ、政府の国債発行と日銀資金供給の前年度比増減額の推移である。日銀による市場からの国債購入は銀行や生命保険会社など民間の金融機関が相手になるが、民間金融機関への国債の供給は既発債を新しい国債に置き換える「借換債」を除く政府の国債新規発行が主力源である。グラフが示すように、民間金融機関が国債売却に伴って保有額を減らした分と、国債の増発額の合計値にほぼ沿って日銀の国債保有増加額が決まる。
 ところが、「財政収支の均衡」を最優先する財務省は国債発行の圧縮に努めている。国債の供給が細っている中で、民間金融機関は焦げつく恐れのない国債をこれ以上手放すわけにはいかない。日銀自体、円高是正が進む中で保有資産の膨張を懸念する声が内部で根強くなり、量的緩和の「出口」を模索するありさまだ。こうして日銀の量的拡大策は先細ってきた。
 前述した浜田教授は「今のような危機の局面では、財政支出拡大が現代経済学の国際常識。大災厄の中で財政均衡を優先する考え方はとんでもない誤りだ」と断じた。
 経済を支える人の足が止まり、生産と消費が急激に落ち込むと所得がさらに減る悪循環にはまる。特に消費税率の10%への引き上げ後、大幅なマイナス成長局面に陥った日本経済は新型コロナ・ショックが一段落したとしても再浮上できない恐れがある。消費税率を5%以下に戻せという拙論の早くからの提案に対し、安倍首相の指南役、浜田教授は「2年程度」という期間限定で賛同を表明した。自民党内の一部から出ている消費税率ゼロを求める声は、安倍首相も無視していないようだ。
 消費税大型減税は日本経済を再生軌道に乗せるために欠かせない。一つは、日銀の量的拡大再開を可能にし、円高を抑止できる。もう一つは内需の下支え効果である。安倍首相は全世代型社会保障実現のための財源を消費税増税に求めたが、国民所得が大幅に萎縮するようではそもそも社会保障制度が成り立たなくなる。子育てや教育無償化の財源は国債発行でまかなえばよい。いずれも将来の経済成長をもたらす。国債増発と量的緩和という財政、金融の一体化こそが新型コロナ・ショック対策の決定打である。 (編集委員)
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