mixiユーザー(id:525191)

2019年09月20日08:56

50 view

キリスト教254〜「心のアポロ計画」を推進する

●「心のアポロ計画」を推進する

 大脳にホログラフィー理論を応用したことで知られる大脳生理学者・カール・プリブラムは、次のように語っている。
 「従来の科学は、宗教で扱う人類の精神的側面とは相容れないものだった。いま、これが大きく変わろうとしている。21世紀は科学と宗教が一つとして研究されるだろう。このことはあらゆる面でわれわれの生き方に重大な影響を及ぼすだろう」(プリブラム他著『科学と意識』)
 科学と宗教が一つのものとして研究され、それが私たちの生活に大きな影響をもたらすーーこうしたことを唱えているのは、カプラやプリブラムだけに止まらない。物理学や生物学や認知科学など、さまざまな分野の科学者が、科学と宗教の一致を語っている。
 われわれは、科学と宗教が分離し対立した近代を経て、改めて科学と宗教がより高い次元で融合すべき新しい段階に入っているのである。
 ここにおいて、再評価されつつあるのが、宗教の存在と役割である。カプラは、次のように書いている。「われわれが豊かな人間性を回復するには、われわれが宇宙と、そして生ける自然のすべてと結びついているという体験を回復しなければならない。宗教(religion)の語源であるラテン語のreligareはこの再結合を意味しており、それはまさに精神性の本質であるように見える」と。(『ターニング・ポイント』)
 まさしく、われわれは、科学の時代から精神の時代、物質科学文化の時代から精神科学文化の時代への転換期にある。この時代の方向指示者の一人として、数理科学者のピーター・ラッセルは、「心のアポロ計画」という注目すべき提案をしている。ラッセルは、名著『ホワイトホール・イン・タイム』(1992年)で、次のように言う。
 「今日、人類はまっさかさまに破局へ突っ込んでいく事態に直面している。もし本当に生き残りたかったら、そして私たちの子供や、子供の子供たちに生き残ってほしかったら、意識を向上させる仕事に、心を注ぐことこそが最も大切なことである。破壊的な自己中心主義から人類を解き放つための全世界的な努力だけが必要である。つまり、人類を導くための地球規模のプログラム、”心のアポロ計画”が要求されているのである」
 アポロ計画とは、1960年代に宇宙時代を切り拓いた米国の宇宙開発計画である。それは、物質科学文化のピークを歴史に刻んだ。人類が月に着陸し、月面から撮った宇宙空間に浮かぶ地球の写真は、人々に地球意識を呼び起した。これに比し、「心のアポロ計画」は、この宇宙時代にふさわしい精神的進化を追及するプロジェクトである。
 このプロジェクトでは、心理的な成熟や内面の覚醒を促す技術の研究開発に焦点が当てられる。そこに含まれるテーマは、次のようなものである。

◆神経科学と心理学に焦点を当て、心の本質を理解する。
◆自己中心主義の根拠をもっと深く研究する。
◆霊性開発のための現在ある方法を全世界的に調査する。
◆新しい方法を探すとともに、現在ある方法の協同化を進め、発見されたものの応用と普及を図る

 提唱者ラッセルによると、この計画に巨額な資金は必要としない。
 「毎年全世界が“防衛”に費やしている1兆ドルの1パーセント足らずで、すべてがうまくいくはずである」と、ラッセルは言っている。
 私は、1990年代半ばからこの「心のアポロ計画」に賛同してきた者である。世界の有識者は、早急にこの計画を実施すべきである。だが、ラッセルが「心のアポロ計画」を提唱してから、既に30年近く経っているが、世界規模での具体的な取り組みはされていない。国連等の国際機関で、すみやかにその取り組みを開始すべきである。そして、世界最大の宗教であるキリスト教には、積極的にこの提案に応じることが期待されるのである。

 次回が最終回。

************* 著書のご案内 ****************

 細川一彦著『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4dac1aadbac9b22a290a449a4adb3a1

************************************

1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する