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2019年08月21日09:43

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香港の自由を中華共産主義から守れ1

 香港では、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正案等をめぐって、本年6月から民衆の抗議活動が拡大している。
 中国共産党政府は、香港に隣接する広東省深圳に武装警察を配置し、装甲車やトラックが多数集結させており、武力による鎮圧を行う構えである。
 しかし、自由、民主、人権、自治を求める民衆は、共産党政府の威嚇に屈せず、8月18日には、香港中心部で改正案撤回など政府に5項目の要求を訴える大規模な抗議集会が開かれた。
 これに対し、中国共産党政府がどのように対処するのか、重大な局面になってきている。米国は、トランプ大統領が繰り返し、中国側に自制を促す発言をしており、政府高官や有力連邦議会議員が天安門事件に言及し、中国政府をけん制している。
わが国にとって、中国の中華思想的かつファッショ的な共産主義から自由を守る香港市民の闘いは、決して他人事ではない。香港の動向は台湾の将来に関わり、さらに沖縄・北海道、そして日本の今後に関わる重大な問題である。

●香港の地位と逃亡犯条例問題

 香港は、100年間、イギリスの租借地だった。1997年に香港が中国へ返還される際、中国共産党は「一国二制度」を掲げ、中国の国内に例外的な地区を設け、そこでは全国人民代表大会の管理下で、高度な自治と独立を認めるという制度を、香港に採用した。その制度の下に、香港は、中国国内の特別行政地区となっている。
 しかし、中国共産党は、香港の政治勢力の中に容共派を形成し、少しずつ法律を改正して、実質的な支配を強めてきた。2014年、香港政府の代表者である行政長官の選挙に関して、共産党政府は民主派の立候補者を実質的に排除する選挙制度を決定した。これに対し、同年9月から12月にかけて、雨傘運動と呼ばれる抗議運動が起こった。警察の撃つ催涙弾に対抗するため、学生らが雨傘を差してデモを行ったことから、雨傘運動と呼ばれた。
 現行政長官の林鄭月娥は香港出身者だが、中国共産党の代理人のような行政を行っており、中央政府の意思に従い、本年、「逃亡犯条例」の改正案を立法院(国会に当たる)に提出した。この条例は、国家間の犯罪者引き渡し条約に似たもので、共産党が逃亡犯と指名した者を引き渡すことを定めている。従来、共産党は香港の司法の独立を保障し、この条例の適用外としていた。だが、今回の改正案は、これを香港にも適用しようとするものである。
 そのことに多くの香港市民が反対している。基本的には、中国共産党によって、自由が奪われることへの反対である。今以上に共産党の影響力が強まれば、思想の取り締まりや検閲が行われ、政治を批判することもできなくなる。それへの恐怖と抵抗である。
 より具体的には、「逃亡犯条例」が適用されると、共産党が逃亡犯と決めつけた人物は、誰であれ、本土の共産党政府に引き渡されることになる。共産党政府は、習近平主席や共産党に批判的な人間を、罪名を捏造してでも引き渡させようとするだろう。いったん逮捕された人間は、本土で一方的な裁判にかけられ、断罪されることになるだろう。香港は、一定の自由が保障されているから、民主化運動の活動家の拠点になっている。この改正案が通ると、彼らが標的となるだけでなく、香港の司法の独立がなくなり、なし崩し的に香港の自治権が奪われていくだろう。
 香港の行政府が「逃亡犯条例」の改正を進めようとすると、本年3月末に反対デモが始まった。6月9日には第3回目のデモが実施され、主催者発表で103万人が参加した。香港の人口は、2018年現在で745万人ゆえ、その1割以上に相当する。1997年の香港返還以来、最大規模のデモとなった。同日海外でも6か国16都市でデモが実施された。
 6月16日には、逃亡犯条例改正案の完全撤回と逮捕されたデモ参加者の釈放を目的とするデモが行われ、主催者発表で200万が参加した。この数字が確かなら人口の26.8%、4人に1人以上が参加したことになる。
 こうした反対運動の高揚の中で、民衆の一部は、立法院(国会に当たる)の建物の内部に突入し、器物を損壊するなど行動をエスカレートさせた。これを鎮圧しようとする香港警察は、催涙弾を民衆に向けて発射し、デモ参加者を殴る蹴るなどの暴力をふるった。
 この警察行動には、人民武装警察部隊が治安維持に加わっていたという見方がある。人民武装警察部隊は、名称は警察でも実質的には軍隊であり、国内軍・治安軍と言うべきものである。ただし、香港に香港警察以外に人民武装警察部隊が常駐しているかどうか、またその規模はどれくらいか、はっきりした情報に私は触れていない。

 次回に続く。

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