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2019年08月20日09:48

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国際金融市場に流れる円資金が中国を助けている〜田村秀男氏

 産経新聞特別記者の田村秀男氏は、独自に経済データをグラフ化して分析できる数少ないエコノミストである。令和元年6月1日の産経の記事に、田村氏は、大意次のように書いた。
 トランプ政権は、中国に対し、制裁関税に加え、厳しい対抗策をハイテク全般に広げる準備を進めている。田村氏は「対中規制分野を金融に広げれば、対中封じ込め策が完成する」という。
 「中国の通貨金融制度はドル資産を発行する人民元資金の裏付けにすることで成り立っている。外貨難が続くと金融の量的緩和は困難で、金融面での景気刺激策は大きな制約を受ける。そこで、頼りとするのがカネ余り日本である」として、田村氏は日銀の異次元緩和で巨額の円資金が国際金融市場が流れ、ドル金融を膨らませており、「中国の企業や金融機関はやすやすとドルを海外で調達または借り入れる」ことになっていると指摘する。
 日銀は異次元緩和で国債を買い上げ、その代金が市中銀行の日銀当座預金に振り込まれ、国内金融市場を膨張させている。ところが、「国内向け貸し出しは、デフレのために需要が弱くて伸びない」。そのため、「円資金は対外貸し出しに回り、対外金融債権に変わる」ということになっている。
 田村氏は、自ら作成したグラフによって、「アベノミクスが始まった2012年末を起点にした日銀資金の増量相当分はほぼそっくり海外に回っている。
 それら資金のトレンドと、中国の対外借り入れ動向を重ね合わすと、ぴったりと連動している」と指摘している。
 私見を述べると、わが国は、トランプ政権が貿易戦争を戦っている中国を、間接的に助けていることになっている。これでは、トランプ政権の対中対抗策は、決定的な効果を上げることができない。
 では、どうすればよいか。わが国は、財政出動を含む積極財政を行って、デフレ脱却に徹し、国内で資金需要を増大することである。また、そのためにも、デフレ圧力になる消費増税実施を中止することが必要である。
 昨年11月19日のマイブログに書いたが、田村氏は消費増税をすれば、「デフレ圧力は強まり、国内資金需要低迷は確実、余ったカネは中国へと流れる」と警告し続けている。
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/7d33fc0c0bfdd42e0b4d1686714b5372
 上記の田村氏の記事は、国際金融面からこの主張を裏付けるものである。わが国は、国内事情だけでなく、世界的な経済事情を巨視的に把握して、経済政策を誤らないようにしなければならない。
 以下は、田村氏の記事の全文。

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●産経新聞 令和元年6月1日

https://www.sankei.com/premium/news/190601/prm1906010003-n1.html
【田村秀男のお金は知っている】トランプ米政権の“強硬”姿勢受け… 習政権がすがる先は「カネ余りの日本」
2019.6.1 10:00

 先に来日したトランプ米大統領と安倍晋三首相の親密ぶりは至るところで満開だったが、少し気になったのは米中貿易戦争に関する両首脳間の「温度差」である。
 記者会見で、安倍首相は「米中両国が対話を通じて、建設的に問題解決を図ることを期待」と発言したのに対し、トランプ大統領は「中国は取引を望んでいたが、取引をやる用意はなかった」とにべもない。
 首相は6月下旬に迫った大阪での20カ国・地域(G20)首脳会議のホストとして無難な言い方をしたというよりも、政府・与党や経済界の親中路線に引き寄せられている。
 トランプ氏との会談の詳細は不明だが、米中貿易戦争についてはかなり突っ込んだ意見交換もあったはずだ。首相は明確にトランプ側につくとはコミットしなかったのではないか。
 トランプ政権の対中強硬策は制裁関税に加え、通信機器大手、ファーウェイに対する輸入禁止と部品や技術の輸出制限にも踏み出した。さらに、トランプ政権は厳しい対抗策をハイテク全般に広げる準備を進めている。対中規制分野を金融に広げれば、対中封じ込め策が完成する。
 金融こそは習近平政権最大の泣きどころである。中国金融は対米貿易黒字によって稼ぐドルをベースに築かれているが、米国の対中圧力を受けて資本逃避が加速し、虎の子のドル準備を取り崩して人民元を買い支えざるをえない。習政権は対外借り入れを急増させて、外貨準備に繰り入れ、外準3兆ドル台維持に躍起となっている。
 中国の通貨金融制度はドル資産を発行する人民元資金の裏付けにすることで成り立っている。外貨難が続くと金融の量的緩和は困難で、金融面での景気刺激策は大きな制約を受ける。
 そこで、頼りとするのがカネ余り日本である。日銀は異次元金融緩和策を続け、巨額の円資金を増発している。円は堂々たる国際通貨であり、しかも金利はゼロ以下である。そのコスト・ゼロの円資金が国際金融市場に流れ、ドル金融を膨らます。中国の企業や金融機関はやすやすとドルを海外で調達または借り入れる。
 グラフはそんなカネの流れを表している。異次元緩和は、日銀が市場で流通する国債を買い上げ、代金を市中銀行の日銀当座預金に振り込む。当座預金はこうして膨らみ続け、国内金融市場を膨張させる。国内向け貸し出しは、デフレのために需要が弱くて伸びない。とどのつまり、円資金は対外貸し出しに回り、対外金融債権に変わる。グラフが示すように、アベノミクスが始まった2012年末を起点にした日銀資金の増量相当分はほぼそっくり海外に回っている。
 それら資金のトレンドと、中国の対外借り入れ動向を重ね合わすと、ぴったりと連動していることがわかる。中国は直接、日本から借り入れているわけではないが、国際金融市場から吸い上げるのだ。トランプ政権はそんな日中の緊密な関係にいずれ目を向けるだろう。(産経新聞特別記者・田村秀男)
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